【永住許可申請】在留資格「永住者」に関するQ&A
- 行政書士 日下 雄一朗
- 6月11日
- 読了時間: 59分
更新日:6月15日

外国人の皆様が、日本でのより安定した生活設計をされる上で、「永住者」の在留資格は重要な選択肢の一つとなり得ます。 以下に、永住許可申請に関するQ&Aをまとめました。この情報が、皆様のご理解の一助となれば幸いです。
ご不明な点や、より詳しいご相談をご希望の場合は、どうぞお気軽に長後行政書士事務所までお問い合わせください。
目次
1. 永住許可の基本
Q1:永住者とはどのような在留資格ですか?
A1:「永住者」とは、法務大臣が永住を認める者に対して付与される在留資格です。この資格を取得すると、在留期間の更新が不要となり、活動内容にも原則として制限がなくなります。つまり、就労や事業経営など、日本国内で適法な範囲内であれば、日本人と同様に自由な活動が認められます。ただし、退去強制事由に該当した場合には、永住者であっても日本から退去を強制されることがあります。
Q2: 永住許可を取得するメリットは何ですか?
A2: 永住許可を取得する主なメリットは以下の通りです。
メリット | 詳細 |
在留期間の更新が不要になる | 数年ごとの在留期間更新手続きの手間と不安から解放されます。 |
在留活動に制限がなくなる | 就労可能な職種の制限がなくなり、転職や起業が自由にできるようになります。ただし、公序良俗に反する活動は認められません。 |
社会的信用が高まる | 住宅ローンや事業資金の融資など、金融機関からの信用が得やすくなる傾向があります。 |
配偶者や子供の在留資格が安定する可能性がある | 永住者の配偶者や子は、一定の要件を満たせば「永住者の配偶者等」や永住許可申請において有利になる場合があります。 |
Q3:永住許可を取得するデメリットはありますか?
A3:永住許可を取得すること自体に大きなデメリットは考えにくいですが、留意すべき点を挙げるとすれば以下の通りです。
参政権がない点:
永住者は日本国籍を取得するわけではないため、日本の国政選挙や地方選挙への選挙権・被選挙権はありません。
退去強制の可能性:
日本の法律を遵守する義務があり、重大な法令違反などがあった場合には、永住許可が取り消され、退去強制となる可能性があります。
再入国許可の必要性:
長期間(1年以上)日本を離れる場合は、再入国許可(またはみなし再入国許可)を取得する必要があります。これを怠ると永住者の資格を失うことがあります。
Q4:永住許可と帰化の違いは何ですか?
A4:永住許可と帰化は、日本で長期的に生活するための重要な手続きですが、その法的な意味合いは大きく異なります。
項目 | 永住許可 | 帰化 |
国籍 | 外国籍のまま | 日本国籍を取得(原則として元の国籍は喪失) |
在留活動 | 原則自由(公序良俗の範囲内) | 日本人と同様(制限なし) |
在留期間更新 | 不要 | 不要(日本国民となるため) |
参政権 | なし | あり |
戸籍 | 作成されない | 日本の戸籍が作成される |
退去強制 | 対象となる場合がある | 対象とならない(日本国民であるため) |
申請先 | 地方出入国在留管理局 | 法務局 |
審査の観点 | 日本の国益に合致するか、日本社会への定着性など | 日本国民としての同化の程度、生計能力、素行など |
どちらの手続きを選択するかは、ご自身の将来設計や価値観に基づいて慎重に検討する必要があります。
Q5:永住許可申請は自分で行うべきですか、それとも行政書士に依頼すべきですか?
A5:どちらも一長一短であるといえます。それぞれのメリットデメリットについては以下の通りです。
ご自身で行う場合:
メリット:
費用を抑えられます。
デメリット:
書類収集や作成に多くの時間と労力が必要です。申請内容に不備があると不許可のリスクが高まったり、審査が長期化したりする可能性があります。また最新の法改正や審査の傾向を把握することが難しい場合があります。
行政書士に依頼する場合:
メリット:
専門家が個別の状況に合わせて適切なアドバイスや書類作成のサポートを行うため、許可の可能性を高めることができます。複雑な手続きや書類準備の負担を軽減できます。最新の情報に基づいた的確な申請が期待できます。
デメリット:
依頼費用が発生します。
永住許可申請は、ご自身の将来に関わる重要な手続きです。ご自身の状況(日本語能力、時間的余裕、過去の経歴など)を考慮し、最適な手法を選択されることをお勧めします。
2. 永住許可の要件
Q6:永住許可の法律上の3つの要件について教えてください。
A6:永住許可を得るためには、出入国管理及び難民認定法第22条に定められた以下の3つの基本的な要件を全て満たす必要があります。
素行が善良であること(素行要件):
法律を遵守し日常生活においても住民として社会的に非難されることのない生活を営んでいること。
独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること(独立生計要件):
日常生活において公共の負担にならず、その有する資産又は技能等から見て将来において安定した生活が見込まれること。
その者の永住が日本国の利益に合すると認められること(国益要件):
原則として引き続き10年以上本邦に在留していること。ただし、この期間のうち、就労資格(在留資格「技能実習」及び「特定技能1号」を除く。)又は居住資格をもって引き続き5年以上在留していることを要する。
罰金刑や懲役刑などを受けていないこと。納税義務等公的義務を履行していること。
現に有している在留資格について、出入国管理及び難民認定法別表第1又は第2に規定される最長の在留期間をもって在留していること。(当面、在留期間「3年」を有する場合は、「最長の在留期間をもって在留しているもの」として取り扱うこととされています。)
公衆衛生上の観点から有害となるおそれがないこと。
これらは基本的な要件であり、個別の状況に応じて総合的に審査されます。
Q7:「素行が善良であること(素行要件)」とは具体的にどのようなことですか?
A7: 「素行が善良であること」とは、日本の法律を遵守し、社会のルールを守り、善良な市民として生活していることを意味します。具体的には、以下の点が審査の対象となります。
犯罪歴の有無:
懲役、禁錮、罰金などの刑罰を受けたことがあるか。特に、日本の法律に違反してこれらの刑罰を受けた場合は、大きなマイナス要因となります。
税金や社会保険料の納付状況:
所得税、住民税、年金、健康保険料などの公的義務をきちんと果たしているか。未納や滞納がある場合は、改善が必要です。
交通違反の状況:
軽微な交通違反であっても、繰り返している場合は問題視されることがあります。特に、免許停止や罰金以上の処分を受けた違反は慎重に審査されます。
出入国管理及び難民認定法違反の有無:
オーバーステイ、不法就労、資格外活動違反などの過去がないか。
その他:
日常生活において、近隣住民とのトラブルや、公序良俗に反する行為などがないか。
これらの要素を総合的に判断し、申請者が日本社会において遵法的な生活を送っているかが評価されます。
Q8:「独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること(独立生計要件)」とは具体的にどのようなことですか?
A8: 「独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること」とは、日本で安定した生活を継続的に送ることができる経済的な基盤があることを意味します。具体的には、以下の点が審査されます。
収入の安定性と継続性:
過去数年間(通常は直近3~5年程度)の年収が一定水準以上であり、かつ安定していることが求められます。
勤務先の安定性(会社の規模や業績など)も考慮される場合があります。
自営業者の場合は、事業の安定性や収益性がより詳細に審査されます。
扶養状況:
扶養家族がいる場合、その人数に応じた収入が求められます。
世帯全体の収入で判断されるため、配偶者に収入がある場合は合算して申告できます。
資産状況:
預貯金、不動産などの資産も考慮されますが、収入の安定性がより重視される傾向にあります。
公的扶助の受給状況:
生活保護など、公的扶助を受けていないことが原則です。
明確な年収基準が公表されているわけではありませんが、一般的には、就労している単身者の場合、年収300万円程度が一つの目安と言われています。ただし、これはあくまで目安であり、居住地域や家族構成、これまでの在留状況などによって総合的に判断されます。
Q9: 「その者の永住が日本国の利益に合すると認められること(国益要件)」とは具体的にどのようなことですか?
A9:「その者の永住が日本国の利益に合すると認められること(国益要件)」は、永住許可の最も重要な要件の一つであり、多角的な観点から判断されます。具体的には、以下の要素が含まれます。
長期間の日本での居住:
原則として10年以上継続して日本に在留していること。このうち、直近5年以上は就労資格または居住資格で在留している必要があります。
納税義務等の公的義務の履行:
所得税、住民税、法人税などの税金、年金保険料、医療保険料などを適正な時期に納付していること。未納や滞納は国益に反すると判断される可能性があります。
法令遵守:
日本の法律を遵守していること。重大な犯罪はもちろん、交通違反の繰り返しなどもマイナス評価につながります。
公衆衛生上の観点:
感染症のキャリアであるなど、公衆衛生上の観点から問題がないこと。
現に有する在留資格の在留期間:
原則として、現在許可されている在留資格の最長の在留期間(例:多くの就労資格では「5年」ですが、当面は「3年」でも可とされています)をもって在留していることが求められます。これは、日本での生活基盤が安定していることの一つの指標とみなされます。
日本社会への貢献:
必須ではありませんが、ボランティア活動への参加、地域社会への貢献、学術・文化・スポーツ分野での顕著な功績などがあれば、有利に働く可能性があります。
これらの要素を総合的に審査し、申請者が将来にわたって日本社会の構成員として有益であるかどうかが判断されます。
Q10:永住許可申請に必要な居住歴は何年ですか?
A10:永住許可を申請するための原則的な居住歴(居住要件)は、「引き続き10年以上日本に在留していること」です。 さらに、この10年以上の在留期間のうち、「直近の5年以上は、就労資格(例:技術・人文知識・国際業務、技能、経営・管理など)または居住資格(例:日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者)をもって引き続き在留していること」が必要です。
「引き続き」とは、在留資格が途切れることなく継続していることを意味します。また、1回の出国が長期間(概ね3ヶ月以上)に及んだり、年間の出国日数が合計で多い(概ね100日以上)場合などは、居住の継続性が認められない可能性がありますので注意が必要です。
Q11:居住歴の特例について教えてください。(日本人・永住者の配偶者、定住者、難民認定者、高度専門職など)
A11: Q10で述べた原則10年の居住要件には、いくつかの特例があり、より短い期間で永住許可申請が認められる場合があります。主な特例は以下の通りです。
対象者 | 居住要件の緩和内容 | 備考 |
日本人、永住者、特別永住者の配偶者 | 実体を伴った婚姻生活が3年以上継続し、かつ、引き続き1年以上日本に在留していること。 | 離婚している場合は適用されません。 |
日本人、永住者、特別永住者の実子または特別養子 | 引き続き1年以上日本に在留していること。 | |
「定住者」の在留資格を有する者 | 「定住者」の在留資格を得てから、引き続き5年以上日本に在留していること。 | |
難民の認定を受けた者 | 難民の認定後、引き続き5年以上日本に在留していること。 | |
外交、社会、経済、文化等の分野で日本への貢献があると認められる者 | 引き続き5年以上日本に在留していること。 | 具体的な貢献内容は個別に判断されます。 |
高度専門職省令に規定するポイント計算で70点以上の方 | (1) 引き続き3年以上日本に在留していること。 (2) 永住許可申請日から3年前の時点でも70点以上のポイントを有していたこと。 | ポイント計算の詳細は出入国在留管理庁のウェブサイト等で確認が必要です。 |
高度専門職省令に規定するポイント計算で80点以上の方 | (1) 引き続き1年以上日本に在留していること。 (2) 永住許可申請日から1年前の時点でも80点以上のポイントを有していたこと。 | ポイント計算の詳細は出入国在留管理庁のウェブサイト等で確認が必要です。 |
これらの特例に該当する場合でも、素行要件や独立生計要件、国益要件など、他の永住許可の要件を満たす必要があります。
Q12:高度専門職ポイント計算で永住許可の居住要件が緩和されると聞きました。具体的に教えてください。
A12:はい、その通りです。「高度専門職」の在留資格をお持ちの方、または「高度専門職」に該当するポイント計算(高度人材ポイント制)で一定以上の点数を有すると認められる方は、永住許可申請に必要な居住歴が大幅に緩和されます。
具体的には、以下の2つのケースがあります。
ポイントが70点以上の方:
永住許可申請の時点で高度専門職ポイントが70点以上あり、かつ、
「引き続き3年以上」日本に在留し、そのうち「高度専門職外国人として」または「70点以上のポイントを有する者として」活動を継続している場合。
ポイントが80点以上の方:
永住許可申請の時点で高度専門職ポイントが80点以上あり、かつ、
「引き続き1年以上」日本に在留し、そのうち「高度専門職外国人として」または「80点以上のポイントを有する者として」活動を継続している場合。
「高度専門職」の在留資格を現在持っていなくても、他の就労資格(例:技術・人文知識・国際業務)で在留しながら、ポイント計算の結果が70点以上または80点以上に達していれば、この緩和措置の対象となり得ます。ポイント計算は学歴、職歴、年収、年齢、研究実績、日本語能力などが評価項目となります。ご自身の状況が該当するかどうか、詳細な確認をお勧めします。
Q13:収入の目安はどのくらい必要ですか?扶養家族がいる場合はどうなりますか?
A13:永住許可申請における独立生計要件を満たすための収入について、出入国在留管理庁から明確な基準額が公表されているわけではありません。しかし、一般的に以下のような点が考慮されます。
単身者の場合:
原則として過去5年間の課税所得証明書や納税証明書で安定した収入があることを証明する必要があります。
年収の目安としては、概ね300万円以上が望ましいとされています。ただし、これはあくまで目安であり、居住地域や生活状況、これまでの在留状況などを総合的に勘案して判断されます。
扶養家族がいる場合:
扶養家族1人につき、おおよそ70万円~80万円程度の追加収入が求められる傾向にあります。
例えば、配偶者と子供1人を扶養している場合、300万円 + (70万円~80万円) × 2人 = 440万円~460万円程度の年収が一つの目安となり得ます。
世帯全体の収入で判断されるため、配偶者にも収入がある場合は、合算して申告することが可能です。
重要な点:
収入の安定性と継続性:
直近1年だけでなく、過去数年間にわたり安定した収入があることが重要です。転職して間もない場合や、収入が不安定な場合は慎重な判断が必要です。
公的義務の履行:
収入額だけでなく、きちんと納税しているか、社会保険料を納めているかも厳しく審査されます。
預貯金額:
一定の預貯金があることはプラスに評価される可能性がありますが、収入の安定性に比べると重要度は低い傾向にあります。
ご自身の状況が基準を満たしているか不安な場合は、専門家にご相談されることをお勧めします。
Q14:公的年金や健康保険の加入状況は審査に影響しますか?
A14:はい、永住許可申請において、公的年金(国民年金や厚生年金など)および公的医療保険(健康保険や国民健康保険など)への加入状況および保険料の納付状況は、非常に重要な審査項目の一つです。これらは「国益要件」の中の「公的義務の履行」として評価されます。
具体的には、以下の点が確認されます。
適正な加入:
日本に居住する20歳以上60歳未満の方は、国籍を問わず国民年金への加入が義務付けられています(会社員等で厚生年金に加入している場合を除く)。
また、日本に中長期在留する外国人は、原則として何らかの公的保険に加入する義務があります。
保険料の納付状況:
申請直近の一定期間(通常は2年間程度)について、年金保険料および医療保険料が適切に納付されている必要があります。
未納や著しい滞納がある場合は、永住許可が不許可となる可能性が非常に高くなります。
過去に未納期間があった場合でも、直近の期間で適切に納付しており、その理由などを合理的に説明できれば考慮される余地はありますが、状況によります。
会社にお勤めで厚生年金や健康保険に加入されている方は、通常給与から天引きされているため問題になることは少ないですが、国民年金や国民健康保険に加入義務のある方がご自身で納付手続きを失念していたり、経済的な理由で未納期間が生じていたりする場合には注意が必要です。申請前にご自身の加入・納付状況を必ず確認し、もし問題があれば速やかに是正措置を講じることが肝要です。
Q15:税金の未納があると永住許可は難しいですか?どの程度の影響がありますか?
A15:はい、税金の未納は永住許可申請において極めて重大なマイナス要因となり、許可を得ることが非常に難しくなります。これは「国益要件」における「公的義務の履行」に反すると判断されるためです。
審査対象となる主な税金は以下の通りです。
国税:
所得税、法人税(経営者の場合)、消費税など
地方税:
住民税(市区町村民税・都道府県民税)
具体的にどの程度の影響があるかについては、以下の点が考慮されます。
未納の事実:
たとえ少額であっても、未納の事実があること自体が問題視されます。
未納の期間や金額:
未納期間が長かったり、未納額が多額であったりするほど、より深刻な状況と判断されます。
意図的な未納か否か:
意図的に納税を怠っていたと判断される場合は、極めて厳しい評価となります。
現在の納付状況:
申請時点までに全ての未納分を完納していることは最低限必要ですが、過去に未納があったという事実は記録として残るため、完全に問題が解消されるわけではありません。完納後、一定期間適正な納税実績を積み重ねることが求められる場合があります。
納税証明書の提出:
永住許可申請では、過去数年間(通常は2年分、場合によってはそれ以上)の課税証明書および納税証明書の提出が求められます。これらの書類によって納税状況が詳細に確認されます。
過去に税金の納付漏れや遅延があった場合は、正直に申告し、その理由や現在の改善状況を丁寧に説明することが重要です。しかし、原則として、全ての税金を適正な時期に完納していることが永住許可の前提条件とお考えください。ご不安な点があれば、専門家にご相談いただくことを強くお勧めします。
Q16:交通違反があると永住許可に影響しますか?どのような違反が問題になりますか?
A16:はい、交通違反も「素行が善良であること(素行要件)」の判断材料となり、永住許可申請に影響を与える可能性があります。全ての交通違反が即座に不許可に繋がるわけではありませんが、その内容や頻度によっては問題視されます。
特に注意が必要な交通違反は以下の通りです。
重大な違反:
飲酒運転、無免許運転、大幅な速度超過、危険運転致死傷罪など、悪質かつ危険性の高い違反は、一度でもあれば永住許可が極めて困難になる可能性があります。これらは罰金刑以上の刑事処分が科されることが多く、素行善良とは到底認められません。
罰金刑が科された違反:
上記の重大な違反以外でも、反則金ではなく罰金刑が科された交通違反(例:一定以上の速度超過、信号無視による人身事故など)は、刑事罰の一種であるため、審査に大きな影響を与えます。
軽微な違反の繰り返し:
駐車違反、一時停止違反、シートベルト装着義務違反などの比較的軽微な違反であっても、短期間に何度も繰り返している場合は、交通法規を遵守する意識が低いと判断され、マイナス評価となる可能性があります。
交通ルールを守ることは、日本で生活する上での基本的な義務です。日頃から安全運転を心がけ、交通法規を遵守することが重要です。もし過去に交通違反がある場合は、その内容や時期、回数などを正確に把握し、専門家にご相談いただくことをお勧めします。
Q17:転職回数が多いと永住許可に不利になりますか?
A17:転職回数が単に多いというだけで、直ちに永住許可申請が不利になるわけではありません。しかし、その転職の理由や状況によっては、「独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること(独立生計要件)」や「日本国の利益に合すると認められること(国益要件)」における安定性・継続性の観点から、慎重に審査される可能性はあります。
以下の点が考慮されます。
転職の理由:
キャリアアップやより良い労働条件を求めての転職など、正当な理由がある場合は、それほど問題視されない傾向にあります。
一方で、短期間で理由なく職を転々としている場合や、人間関係のトラブル、能力不足などを理由とする解雇が繰り返されている場合は、職業生活の安定性に疑問符がつく可能性があります。
転職と転職の間の期間:
離職期間が長期間にわたる場合、その間の生計維持の方法や、再就職への意欲などが問われることがあります。
転職後の職務内容や収入の安定性:
転職によって収入が大幅に減少したり、不安定な雇用形態になったりした場合は、独立生計要件を満たせるかどうかが慎重に審査されます。
逆に、転職によってキャリアアップし、収入が増加した場合は、プラスに評価されることもあります。
在留資格との整合性:
現在の就労資格で認められている活動範囲内での転職であることは当然必要です。
永住許可申請では、これまでの職務経歴や収入の推移などを証明する書類(職務経歴書、在職証明書、源泉徴収票、課税証明書など)を提出します。転職回数が多い方は、それぞれの転職について合理的な理由を説明できるように準備しておくことが望ましいでしょう。理由書などで、キャリア形成の一環としての転職であったことなどを補足説明することも有効です。
Q18:過去にオーバーステイや不法就労の経験がある場合、永住許可は取得できますか?
A18:過去にオーバーステイ(不法残留)や不法就労の経験がある場合、永住許可の取得は極めて困難と言わざるを得ません。これらの事実は「素行が善良であること(素行要件)」および「日本国の利益に合すると認められること(国益要件)」に著しく反すると判断されるためです。
オーバーステイ(不法残留):
在留期間を超えて日本に滞在することは、出入国管理及び難民認定法に違反する行為です。
不法就労:
許可された活動範囲を超えて収入を得る活動を行ったり、就労が認められていない在留資格で働いたりすることも同様に法律違反です。
永住許可は、日本で長期的に安定した生活を送るための資格であり、高い規範意識が求められます。過去の過ちについては真摯に反省し、長期間にわたり模範的な在留を継続することが、将来的な可能性を探る上での第一歩となりますが、それでもなお厳しい道のりであることをご理解いただく必要があります。
Q19:身元保証人はどのような人がなれますか?外国籍でも大丈夫ですか?
A19:永住許可申請における身元保証人は、申請者が日本で安定した生活を送ることを支援し、法令遵守を促す役割を担います。身元保証人になれる人には、一定の要件があります。
身元保証人の主な要件:
国籍・在留資格:
原則として、日本人または永住者(特別永住者を含む)であることが求められます。
したがって、就労資格や「日本人の配偶者等」などの在留資格を持つ外国籍の方は、原則として身元保証人になることはできません。ただし、申請者との関係性や保証能力など、個別の状況によっては総合的に判断されることもあります
安定した収入があること:
身元保証人自身が安定した収入を有し、経済的に自立していることが必要です。
公的義務を履行していること:
原則として、税金や社会保険料などをきちんと納めていることが求められます。
日本に居住していること:
原則として、日本国内に居住している方が対象となります。
身元保証人として適格な方の例:
職場の日本人や永住者の上司、同僚
日本人の配偶者(申請者がその配偶者である場合を除く)
日本に居住する日本人や永住者の親族や知人
身元保証人を見つけることが難しい場合もあるかと存じますが、永住許可申請において必須の要件の一つです。日頃からの良好な人間関係の構築が重要となります。
Q20:身元保証人の責任範囲はどこまでですか?
A20:永住許可申請における身元保証人の責任は、法的な強制力を伴うものではなく、道義的な責任とされています。つまり、申請者が何らかの問題(例:経済的困窮、法令違反など)を起こした場合でも、身元保証人が法的に損害賠償を請求されたり、借金を肩代わりさせられたりするわけではありません。
出入国在留管理庁が示している身元保証人の負うべき責任内容は、主に以下の3点です。
経済的支援:
申請者が生活に困窮した場合の経済的な援助。
法令遵守の指導:
申請者が日本の法令を遵守するように指導すること。
公的義務の履行の指導:
申請者が納税や社会保険料の支払いなどの公的義務を履行するように指導すること。
これらの責任は、あくまで道義的なものであり、身元保証人がこれらの責任を果たさなかったとしても、法的な罰則が科されることはありません。しかし、身元保証人になったという事実は出入国在留管理庁に記録されるため、将来的にご自身や他の方が何らかの在留資格申請をする際に、その信頼性が問われる可能性は否定できません。
したがって、身元保証人になる方には、これらの道義的責任について十分に理解していただいた上で、引き受けてもらうことが重要です。また、申請者自身も、身元保証人に迷惑をかけないよう、日本での生活において法令を遵守し、安定した生活を送る努力をすることが求められます。
3. 永住許可申請の手続き
Q21:永住許可申請はどこで行いますか?
A21:永住許可の申請は、申請者の住居地を管轄する地方出入国在留管理局または同支局、出張所の窓口で行います。ご自身の住民票がある市区町村を管轄する出入国在留管理官署に申請する必要があります。
例えば、神奈川県にお住まいの方は、東京出入国在留管理局横浜支局などが管轄となります。管轄区域は出入国在留管理庁のウェブサイトで確認することができます。
申請は、原則として申請者本人が出頭して行いますが、法定代理人(親権者など)や、出入国在留管理庁長官が適当と認める者(例:依頼を受けた行政書士など)が申請を代行することも可能です。
Q22:永住許可申請に必要な書類は何ですか?(一般的な就労資格の場合)
A22:永住許可申請に必要な書類は、申請者の現在の在留資格や家族構成、職業などによって異なります。ここでは、一般的な就労資格(例:「技術・人文知識・国際業務」など)をお持ちの方が申請する場合の主な必要書類を挙げます。
【申請人本人が準備する主な書類】
永住許可申請書:
定められた様式があります。
写真(縦4cm×横3cm):
申請書に貼付します。
理由書:
永住を希望する理由を具体的に記述します(日本語での作成が基本)。
パスポート及び在留カード:
提示。
住民票の写し:
世帯全員分で、マイナンバー以外の記載事項が省略されていないもの。
職業を証明する資料:
会社員の場合: 在職証明書
自営業者の場合: 確定申告書の控えの写し、営業許可書の写し(ある場合)など
直近の所得及び納税状況を証明する資料:
住民税の課税(又は非課税)証明書及び納税証明書(直近5年分など、状況により異なります)
源泉所得税及び復興特別所得税、申告所得税及び復興特別所得税、消費税及び地方消費税、相続税、贈与税に係る納税証明書(その3)
公的年金及び公的医療保険の保険料の納付状況を証明する資料:
ねんきん定期便、年金保険料領収書の写し、国民健康保険料(税)納付証明書、健康保険・厚生年金保険料領収証書の写しなど(直近2年間分など)
資産を証明する資料(任意ですが有利になる場合があります):
預貯金通帳の写し、不動産の登記事項証明書など
身元保証に関する資料:
身元保証書(日本の国籍を有する者又は永住者である身元保証人が作成)
身元保証人の身分証の写し
日本への貢献に係る資料(あれば):
表彰状、感謝状、推薦状、ボランティア活動の証明書など
【その他、状況に応じて必要な書類】
日本語能力を証明する資料(日本語能力試験の合格証など)
最終学歴の卒業証明書
技能や資格を証明する資料
家族関係を証明する資料(戸籍謄本、結婚証明書、出生証明書など、外国語の場合は翻訳が必要)
上記はあくまで一般的な例であり、個別の状況によって追加の書類を求められることがあります。申請前に必ず出入国在留管理庁のウェブサイトで最新の情報を確認するか、専門家にご相談ください。
Q23:永住許可申請の標準的な審査期間はどのくらいですか?
A23:出入国在留管理庁が公表している永住許可申請の標準処理期間は4ヶ月~6ヶ月(2025年5月現在)です。 しかし、これはあくまで目安であり、実際の審査期間は申請者の状況、提出書類の内容、申請時期、管轄する地方出入国在留管理局の混雑具合などによって大きく変動します。
短い場合:
書類が完璧に整っており、特に問題のないシンプルなケースであれば、4ヶ月より早く結果が出ることもあります。
長い場合:
審査に時間を要する複雑なケース(例:収入や素行に懸念事項がある、家族関係が複雑である、過去の在留状況に問題があったなど)や、追加書類の提出を求められた場合などは、6ヶ月から1年以上かかることも珍しくありません。
特に、近年は永住許可申請の審査が厳格化している傾向があり、慎重な審査が行われるため、ある程度の期間を要することを想定しておく必要があります。申請後は、審査の進捗について個別に問い合わせても具体的な回答を得ることは難しいのが一般的です。結果の通知を待つことになります。
Q24:永住許可申請の結果はどのように通知されますか?
A24:永住許可申請の結果は、原則として郵送で通知されます。 申請時に提出した申請書に記載された住所宛に、地方出入国在留管理局から通知書が送られてきます。
許可の場合:
通常、「永住許可通知書」といった名称のハガキまたは封書が届きます。この通知書には、新しい在留カード(永住者)の交付手続きや手数料の納付について案内が記載されています。
不許可の場合:
「不許可通知書」または「永住不許可に関するお知らせ」といった名称の文書が届きます。この通知書には、不許可となった理由が簡潔に記載されているのが一般的です。
いずれの場合も、結果が判明次第、速やかに通知されます。申請から長期間経過しても連絡がない場合は、何らかの郵便事故なども考えられなくはないですが、まずは辛抱強く待つことが基本となります。万が一、転居などで住所変更があった場合は、速やかに出入国在留管理庁に届け出る必要があります。
Q25:永住許可が許可された場合、どのような手続きが必要ですか?
A25:永住許可の通知を受け取ったら、以下の手続きを行う必要があります。
手数料の納付:
許可通知に同封されているか、別途案内される収入印紙(通常10,000円)を購入し、手数料納付書に貼付します。
新しい在留カードの受領:
以下のものを持参し、永住許可申請を行った地方出入国在留管理局の窓口で、新しい在留カード(「永住者」と記載されたもの)の交付を受けます。
許可通知のハガキまたは封書
現在お持ちの在留カード
パスポート
手数料納付書(収入印紙を貼付したもの)
申請時に交付された受付票
(該当する場合)市区町村役場での手続き:
永住許可により在留資格が変更された場合、基本的には出入国在留管理庁での手続きで完結します。
新しい在留カードの受領には期限が設けられている場合がありますので、通知書の内容をよく確認し、速やかに手続きを行ってください。この手続きを経て、正式に「永住者」としての在留が開始されます。
Q26:永住許可申請中に在留資格の期限が切れる場合、どうすればよいですか?
A26:永住許可申請中に、現在お持ちの在留資格の在留期間が満了日を迎えてしまう場合は、別途、在留期間更新許可申請を行う必要があります。
永住許可申請は、あくまで「永住者」という新しい在留資格への変更を求めるものであり、それ自体が現在の在留期間を自動的に延長する効力はありません。したがって、永住許可の審査結果が出る前に現在の在留期間が切れてしまうと、オーバーステイ(不法残留)になってしまいます。
ご自身の在留期間満了日をしっかりと管理し、必要な手続きを怠らないように注意が必要です。
Q27:永住許可申請中に転職や転居をした場合、何か手続きが必要ですか?
A27:はい、永住許可申請中に転職や転居をした場合は、速やかに出入国在留管理庁に対して届出を行う必要があります。また、場合によっては永住許可申請の審査に影響を与える可能性もあります。
1. 転職した場合:
所属機関等に関する届出:
新しい勤務先が決まった場合や、これまでの勤務先を退職した場合は、14日以内に「所属機関等に関する届出」を出入国在留管理庁に提出する義務があります(これは永住申請中か否かに関わらず、中長期在留者としての義務です)。
永住許可申請への影響:
転職によって職務内容、収入、会社の安定性などが大きく変わる場合、永住許可の審査(特に独立生計要件や国益要件)に影響が出ることがあります。転職の経緯や新しい勤務先の情報などを記載した資料(例:理由書、新しい在職証明書、雇用契約書の写しなど)を、永住許可申請を行っている地方出入国在留管理局に追加で提出することが望ましいです。
2. 転居した場合:
住居地に関する届出(市区町村役場):
新しい住所に引越してから14日以内に、転入先の市区町村役場に転入届を提出し、住民票の異動手続きを行う必要があります。
住居地の届出(出入国在留管理庁):
新しい住居地を定めてから14日以内に、出入国在留管理庁長官に対し、新しい住居地を届け出る必要があります。これは、在留カードの裏面に新しい住所を記載してもらう手続きを指します。
永住許可申請への影響:
審査結果の通知などが新しい住所に確実に届くようにするため、永住許可申請を行っている地方出入国在留管理局にも、別途、住所変更の連絡(資料提出)をしておくことが賢明です。
これらの届出を怠ると、在留資格の取消事由に該当する可能性や、永住許可申請の審査に不利な影響を与える可能性がありますので、変更があった場合は速やかに手続きを行ってください。
Q28:永住許可申請の理由書はどのように書けばよいですか?ポイントを教えてください。
A28:永住許可申請における理由書は、申請者の永住希望の意思を伝え、永住許可の要件(特に国益要件)を満たしていることを補足的に説明するための書類です。法定の様式はありませんが、以下のポイントを押さえて作成すると良いでしょう。
記載すべき主な内容とポイント:
冒頭の挨拶と申請の意思表明:
丁寧な言葉遣いで、永住許可を申請する旨を明確に記載します。
来日から現在までの経緯:
いつ来日し、どのような在留資格で、どのような活動(学業、仕事など)をしてきたかを時系列で簡潔に説明します。
日本での生活を通じて感じたことや、日本社会への適応状況などを具体的に記述すると良いでしょう。
永住を希望する具体的な理由:
なぜ永住を希望するのか、その動機を具体的に説明します。「日本が好きだから」といった抽象的な理由だけでなく、仕事上のキャリアプラン、家族との生活設計、日本社会への貢献意欲など、より個人的で説得力のある理由を記述しましょう。
就労資格で長年日本に貢献してきた実績や、今後も日本で安定して生活していく意思と能力があることをアピールします。
日本への定着性・貢献性のアピール:
これまでの納税実績、社会保険への加入状況、地域社会への関わり(ボランティア活動などがあれば)、日本語能力の習得努力などを具体的に記述し、日本社会への定着性と貢献性をアピールします。
家族(配偶者や子)がいる場合は、家族との日本での生活の安定性についても触れます。
将来の展望:
永住許可を得た後、どのように日本社会に貢献していきたいか、どのような生活設計を描いているかを前向きに記述します。
素行善良性について(必要に応じて):
過去に軽微な交通違反などがある場合、正直に触れた上で反省の意を示し、今後はより一層法令遵守に努める旨を記述することも考慮できます(ただし、重大な違反歴がある場合は理由書でカバーできる範囲を超えます)。
結びの言葉:
審査をお願いする旨を丁寧に述べ、締めくくります。
作成時の注意点:
日本語で作成:
原則として日本語で作成します。難しい場合は、翻訳を依頼し、翻訳証明を添付することも可能です。
正直かつ具体的に:
虚偽の記載は絶対に避け、事実に基づいて具体的に記述します。
丁寧な字で分かりやすく:
手書きの場合は丁寧に、パソコンで作成する場合も読みやすいフォントやレイアウトを心がけます。
誤字脱字の確認:
必ず提出前に複数回確認します。
他の提出書類との整合性:
理由書の内容が、他の提出書類(職務経歴書、課税証明書など)と矛盾しないように注意します。
理由書は、審査官に申請者の人となりや永住への真摯な思いを伝えるための書類です。心を込めて作成しましょう。
Q29:永住許可申請で提出する資料は、どの程度古いものまで認められますか?
A29:永住許可申請で提出する資料の有効期間や、どの程度古いものまで認められるかは、資料の種類によって異なりますが、基本的に日本で発行される証明書(住民票、課税証明書、在職証明書等)については、発行日から3か月以内のものが求められます。
Q30:永住許可申請の手数料はいくらですか?
A30:永住許可申請が許可された場合、新しい在留カードの交付を受ける際に手数料として10,000円(2025年5月現在)が必要になります。この手数料は、収入印紙で納付します。
手数料納付のタイミングと方法:
申請時:
永住許可申請書を提出する時点では、手数料は不要です。
許可通知後:
永住許可の通知を受け取った後、指定された期間内に手数料を納付し、新しい在留カードを受け取る手続きを行います。
納付方法:
郵便局や一部のコンビニエンスストアなどで10,000円分の収入印紙を購入し、手数料納付書(通常、許可通知と共に送付されるが、窓口でも入手可能)に貼付して提出します。
注意点:
不許可の場合:
永住許可申請が不許可になった場合は、手数料を支払う必要はありません。
収入印紙の準備:
事前に購入しておく必要はなく、許可通知を受けてから準備すれば問題ありません。ただし、受領手続きの際に持参し忘れないように注意が必要です。
4. 永住許可申請が不許可になった場合
Q31:永住許可申請が不許可になった場合、理由を教えてもらえますか?
A31:永住許可申請が不許可になった場合、申請者本人または代理人(行政書士など)が地方出入国在留管理局に出向くことで、不許可となった具体的な理由について説明を受けることができます。
不許可通知書:
郵送で届く「不許可通知書」には、不許可の根拠となったおおまかな理由(例:「素行が善良であると認められません」「独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すると認められません」「本邦の国益に合致するとは認められません」など)が記載されています。
窓口での説明:
より詳細な理由や、どの点が要件を満たさなかったのかについては、申請を行った地方出入国在留管理局の窓口で、審査官から直接説明を聞く機会が設けられています。予約が必要な場合もあるため、事前に確認することをお勧めします。
この際、不許可通知書、身分証明書(在留カード、パスポートなど)、申請時の受付票などを持参します。
説明は日本語で行われるため、日本語でのコミュニケーションに不安がある場合は、通訳を同伴することも検討できます。
不許可理由を正確に把握することは、再申請に向けて対策を講じる上で非常に重要です。なぜなら、不許可理由が曖昧なままでは、何を改善すればよいのかが分からず、再申請しても再び不許可となる可能性が高いからです。専門家である行政書士に同行を依頼し、的確なアドバイスを受けることも有効な手段の一つです。
Q32:永住許可申請が不許可になった場合、再申請はいつから可能ですか?
A32:永住許可申請が不許可となった場合、再申請の時期について法律で明確な制限期間が設けられているわけではありません。つまり、理論上は不許可通知を受けた翌日にでも再申請を行うことは可能です。
しかし、現実的には、不許可理由が改善されていない状況で再申請をしても、再び不許可となる可能性が極めて高いです。したがって、重要なのは「いつから再申請できるか」ではなく、「不許可理由を改善し、許可の見込みが立った時点で再申請する」ということです。
再申請を検討する上でのポイント:
不許可理由の完全な把握:
まず、Q31で述べたように、不許可となった具体的な理由を正確に理解することが最も重要です。
不許可理由の改善:
指摘された問題点を改善するために必要な期間は、その理由によって大きく異なります。
例えば、収入不足が理由であれば、安定した収入実績を一定期間(最低でも1年以上)積み重ねる必要があります。
税金や年金の未納が理由であれば、完納した上で、その後も適正な納付を継続している実績を示す必要があります。
交通違反などの素行不良が理由であれば、一定期間、無事故無違反で過ごし、規範意識が改善されたことを示す必要があります。
状況の変化:
再申請時には、前回申請時からの状況の変化(例:昇進による収入増、家族構成の変化など)も考慮されます。
一概に「〇ヶ月後なら大丈夫」と言えるものではありません。不許可理由を真摯に受け止め、具体的な改善策を講じ、客観的に見て許可の可能性が高まったと判断できる状況になってから再申請を検討することが賢明です。
Q33:不許可理由が「素行不良」だった場合、再申請までにどのような点に注意すべきですか?
A33:永住許可申請の不許可理由が「素行不良」であった場合、再申請に向けては、日本の法令を遵守し、社会の規範に沿った生活を送っていることを具体的に示す必要があります。注意すべき主な点は以下の通りです。
不許可の原因となった具体的な行為の把握と反省:
まず、何が「素行不良」と判断されたのか(例:交通違反の頻度・内容、過去の軽微な法令違反、近隣トラブルなど)を正確に把握します。
その行為について真摯に反省し、二度と繰り返さないという強い意志を持つことが基本です。
法令遵守の徹底:
交通違反をしない:
特に、新たな交通違反は絶対に避ける必要があります。安全運転を徹底し、無事故無違反を継続します。運転記録証明書などで、その実績を示すことができるようにします。
その他の法令違反をしない:
刑法犯はもちろん、軽微な条例違反なども含め、一切の法令違反をしないよう注意深く生活します。
出入国管理及び難民認定法違反をしない:
在留資格で許可された範囲の活動を守り、オーバーステイなどもってのほかです。
公的義務の確実な履行:
納税、年金・健康保険料の支払いといった公的義務を遅滞なく、確実に履行します。これは素行善良性だけでなく、国益要件にも関連します。
安定した生活基盤の維持:
安定した職業に就き、真面目に勤務することも、社会の一員としての責任を果たしている証となります。
地域社会との良好な関係(可能な範囲で):
近隣住民とのトラブルを避け、良好な関係を築くよう努めることも、間接的に素行の良さを示す要素となり得ます。
反省と改善の期間:
素行不良と判断された内容にもよりますが、一般的に、問題行動が改善されてから相当期間(少なくとも1年以上、場合によっては数年間)の良好な実績を積み重ねることが求められます。
再申請時の説明:
再申請の際には、過去の素行不良について正直に触れた上で、どのように反省し、改善努力を続けてきたかを具体的に説明する必要があります(理由書などで記述)。
「素行不良」という評価を覆すのは容易ではありません。日々の生活態度を改め、遵法的な市民としての自覚を持った行動を継続することが不可欠です。
Q34:不許可理由が「独立生計能力の不足」だった場合、再申請までにどのような点を改善すべきですか?
A34:永住許可申請の不許可理由が「独立生計能力の不足」であった場合、再申請に向けては、日本で安定して継続的に生活できる経済的基盤があることを具体的に証明する必要があります。改善すべき主な点は以下の通りです。
収入の増加と安定化:
年収額の向上:
指摘された収入水準を満たすよう、昇給やより条件の良い職場への転職(ただし、転職理由や安定性も考慮されます)などを検討します。具体的な目標額は、扶養家族の有無や人数によって異なります。
収入の安定性:
単に一時的に収入が増えただけでは不十分です。改善後の収入が継続的かつ安定していることを、複数年度(通常は1~3年程度)の課税証明書や給与明細などで示す必要があります。
勤務先の安定性:
勤務先の経営状況や規模なども間接的に影響する場合があります。より安定した企業への転職も一つの選択肢です。
世帯収入の検討:
配偶者も就労している場合は、世帯全体の収入で評価されます。配偶者の収入を増やす、または新たに就労を開始することも検討できます。
扶養人数の見直し(該当する場合):
収入に対して扶養家族が多い場合は、独立生計能力が低いと判断される一因になります。状況は変えられない場合が多いですが、例えば成人した子供が独立するなど、扶養人数が減少すれば相対的に負担は軽減されます。
資産形成(補足的要素として):
一定額の預貯金や不動産などの資産があることは、万が一の場合の生活基盤を示すものとしてプラスに評価される可能性があります(ただし、収入の安定性が最も重要視されます)。
公的扶助に頼らない生活:
生活保護などの公的扶助を受けていないことが原則です。
納税・社会保険料の適切な納付:
収入額だけでなく、所得に応じた税金や社会保険料をきちんと納付していることも、独立した生計を営む責任ある社会人としての重要な要素です。
不許可理由となった収入水準や安定性の問題を具体的に把握し、それをクリアするための計画を立て、着実に実行していくことが求められます。改善には時間がかかる場合が多いので、焦らず、確実な実績を積み重ねてから再申請に臨むことが重要です。
Q35:不許可になった場合、行政書士に相談するメリットはありますか?
A35:永住許可申請が不許可になった場合、行政書士に相談することには多くのメリットがあります。
的確な不許可理由の分析:
行政書士は、出入国在留管理庁が示す不許可理由の背後にある、より具体的な問題点を専門的な知見から分析することができます。ご自身では気づきにくい審査のポイントや、間接的な原因を特定できる場合があります。
具体的な改善策の提案:
不許可理由に応じて、何をどのように改善すれば再申請で許可の可能性が高まるのか、具体的なアドバイスを受けることができます。例えば、収入面であればどの程度の期間、どのくらいの収入を維持すべきか、素行面であればどのような点に注意し、どの程度の期間良好な実績を示すべきかなど、専門的な視点からの助言が期待できます。
再申請に向けた適切なタイミングの判断:
焦って再申請しても結果は変わりません。行政書士は、改善状況やその他の要素を総合的に判断し、再申請に最適なタイミングについてアドバイスできます。
質の高い申請書類の作成サポート:
不許可理由を踏まえ、前回申請時の反省点を活かした、より説得力のある理由書や補足資料の作成をサポートしてもらえます。特に、不許可理由に対する反論や改善努力の説明は、専門的な知識が求められる場合があります。
精神的なサポートと負担軽減:
不許可という結果は精神的な負担が大きいものです。専門家が伴走することで、不安が軽減され、再申請に向けた手続きを冷静に進めることができます。書類収集や作成の煩雑さからも解放されます。
出入国在留管理庁とのやり取りの代行:
必要に応じて、行政書士が申請人に代わって出入国在留管理庁に問い合わせを行ったり、説明を受けたりすることも可能です。
もちろん、行政書士に依頼するには費用がかかりますが、特に一度不許可になっている場合は、その原因を的確に把握し、効果的な対策を講じて再申請に臨むために、専門家のサポートは非常に有効な手段と言えるでしょう。
5. 永住者の家族
Q36:私が永住許可を取得した場合、配偶者や子供も永住許可を取得しやすくなりますか?
A36:はい、あなたが永住許可を取得した場合、あなたの配偶者やお子様(実子または特別養子)も、一定の条件下で永住許可を取得しやすくなる可能性があります。具体的には、「永住者の配偶者等」という在留資格からの永住申請や、居住要件の特例が適用される場合があります。
配偶者の場合:
あなたが永住者である場合、その配偶者は「永住者の配偶者等」という在留資格で日本に在留することができます。
そして、「永住者の配偶者等」の在留資格を持つ方が永住許可を申請する場合、原則10年の居住要件が緩和され、「実体を伴った婚姻生活が3年以上継続し、かつ、引き続き1年以上日本に在留していること」で申請が可能になります。
子供の場合:
あなたが永住者である場合、その実子または特別養子は「永住者の配偶者等」(子供の場合)や「定住者」などの在留資格で日本に在留することができます。
永住者の実子または特別養子として日本で出生した場合や、引き続き日本で養育されている場合、「引き続き1年以上日本に在留していること」で永住許可申請が可能となる特例があります。
また、日本で出生したお子様の場合、「出生による永住許可申請」という特別な手続きが可能なケースもあります(一定の条件を満たす必要があります)。
注意点:
配偶者やお子様が永住許可を申請する際も、素行要件(法令遵守、納税など)や独立生計要件(世帯として安定した収入があること)、国益要件などを満たす必要があります。あなたが永住者であるというだけで、自動的に家族も許可されるわけではありません。
婚姻や親子関係の実質が伴っていることが重要です。
ご自身が永住許可を取得することで、ご家族の日本での法的地位の安定にも繋がる可能性があります。具体的な申請要件については、ご家族それぞれの状況に応じて確認が必要です。
Q37:永住者の配偶者として永住申請する場合の要件を教えてください。
A37:永住者の配偶者の方が永住許可を申請する場合、通常の就労資格からの申請に比べて、特に居住要件が緩和されます。主な要件は以下の通りです。
身分関係:
永住者の配偶者であること。
法律上の婚姻関係が有効に存続しているだけでなく、実体を伴った婚姻生活が継続していることが重要です。偽装結婚や家庭内別居のような状態では認められません。
居住要件:
実体を伴った婚姻生活が3年以上継続していること。
かつ、引き続き1年以上日本に在留していること。
この「1年以上日本に在留」は、「永住者の配偶者等」の在留資格で在留している必要はなく、他の在留資格(例:就労資格)で在留していた期間も通算できます。ただし、申請時には「永住者の配偶者等」の在留資格を有しているか、または同時に変更申請を行うのが一般的です。
その者の永住が日本国の利益に合すると認められること(国益要件):
公的義務の履行(納税、年金・医療保険の加入・納付)、現に有する在留資格が最長の在留期間であること(当面「3年」でも可)、公衆衛生上の問題がないことなどが審査されます。
これらの要件を総合的に満たしている場合に、永住許可が認められます。なお審査においては、婚姻の実態や生計の安定性などが特に重視される傾向にあります。
Q38:永住者の子供として日本で生まれた場合、在留資格はどうなりますか?永住申請はできますか?
A38:永住者の子供として日本で生まれた場合、そのお子様の在留資格と永住申請については、いくつかの可能性があります。
1. 出生による在留資格の取得:
日本で生まれたお子様は、出生から30日以内に、その親が地方出入国在留管理局に「在留資格取得許可申請」を行う必要があります(一部例外あり)。
親が永住者の場合、お子様は通常、「永住者の配偶者等」や「定住者」といった在留資格を取得することが一般的です。
2. 出生による永住許可申請:
以下の全ての条件を満たす場合は、出生から30日以内に「出生による永住許可申請」を行うことで、生まれたお子様が直接永住許可を取得できる可能性があります。
お子様が日本で出生したこと。
出生時に父または母のいずれか一方が「永住者」の在留資格を有していたこと。(特別永住者の場合は別の手続きになります)
出生後30日以内に申請すること。
3. 通常の永住許可申請(特例適用):
上記「出生による永住許可申請」の条件を満たさない場合や、その機会を逃した場合でも、永住者の実子または特別養子であれば、居住要件の特例が適用されます。
具体的には、「引き続き1年以上日本に在留していること」で永住許可申請が可能になります。
手続きの注意点:
出生届は市区町村役場へ、在留資格に関する申請は地方出入国在留管理局へと、それぞれ手続きが必要です。
期限内に必要な手続きを行わないと、お子様が不法滞在になってしまう可能性がありますので、十分にご注意ください。
なお、両親のいずれかが日本国籍を有している場合は、原則として日本国籍を取得します(外国籍の両親の国籍も取得する場合は、一定期間内にいずれかの国籍を選択する必要があります)。
Q39:永住者の親を日本に呼び寄せることはできますか?
A39:永住者の方が、ご自身の親を日本に呼び寄せて一緒に暮らすための在留資格は、現在の日本の出入国管理制度上、非常に限定的であり、一般的には困難な場合が多いです。
「家族滞在」の在留資格は、就労資格を持つ外国人や一部の留学生の配偶者や子を対象としており、親は対象外です。また、永住者の親を対象とした直接的な呼び寄せの在留資格は、通常設けられていません。
ただし、以下のような極めて例外的なケースでは、人道上の配慮などから「特定活動」や「定住者」といった在留資格が許可される可能性がゼロではありません(が、非常にハードルが高いのが実情です)。
親が本国で身寄りがなく、かつ高齢で病気などにより独立して生活することが困難であり、日本にいる永住者である子が扶養しなければ生活できないような特別な事情がある場合。
この場合でも、永住者である子に十分な扶養能力があること、日本で適切な監護体制が整っていることなどが厳しく審査されます。
現実的な対応:
短期滞在:
親族訪問などの目的で「短期滞在」の査証(ビザ)を取得して、一時的に日本に来てもらうことは可能です。ただし、滞在期間は通常90日以内で、日本での就労は認められません。
高度専門職の親の帯同:
「高度専門職」の在留資格を持つ外国人については、一定の条件下(世帯年収が800万円以上、妊娠中の支援や7歳未満の子の養育など)で、本人または配偶者の親の入国・在留が認められる場合があります。永住者の方がこの制度を直接利用することはできませんが、ご自身が高度専門職の要件を満たしている場合は、検討の余地があるかもしれません(ただし、これは永住者としての親の呼び寄せとは異なります)。
基本的には、永住者であっても、ご自身の親を日本に呼び寄せて長期的に一緒に暮らすことは難しいとお考えいただくのが現状です。個別の状況が非常に特殊な場合は、専門家にご相談ください。
Q40:永住者と結婚した外国人の場合、すぐに永住申請できますか?
A40:永住者と結婚した外国人の方が、結婚後すぐに永住許可を申請できるわけではありません。永住許可を申請するためには、一定の要件を満たす必要があります。
永住者と結婚した外国人の方が永住許可を申請する場合、主に以下の点が重要になります。
婚姻の実態と継続期間:
法律上の婚姻関係だけでなく、実体を伴った夫婦としての共同生活が継続していること。
永住許可の居住要件の特例として、実体を伴った婚姻生活が3年以上継続し、かつ、引き続き1年以上日本に在留していること。
したがって、「結婚したからすぐに永住申請できる」というわけではなく、上記の婚姻継続期間や日本での在留期間、その他の要件を満たした上で申請することになります。結婚後、まずは「永住者の配偶者等」の在留資格で安定した生活を送り、これらの要件を満たすのを目指すのが一般的な流れです。
6. 永住許可取得後の注意点
Q41:永住許可を取得した後でも、在留カードの更新は必要ですか?
A41:はい、永住許可を取得した後でも、在留カードの有効期間の更新手続きは必要です。
永住者の在留資格自体には期限がありませんが、所持する在留カードには有効期間が定められています。これは、在留カードに記載されている情報(顔写真など)を最新の状態に保つためです。
在留カードの有効期間:
16歳以上の方: 在留カードの交付日から7年間
16歳未満の方: 16歳の誕生日の前日まで
更新申請期間:
有効期間が満了する日の2ヶ月前から(16歳未満の方は、16歳の誕生日の6ヶ月前から)申請することができます。
申請場所:
住居地を管轄する地方出入国在留管理局
必要なもの(主なもの):
在留カード有効期間更新申請書
写真
現在お持ちの在留カード
パスポート
在留カードの有効期間更新を怠ると、不法滞在とはなりませんが、法律違反として罰則の対象となる可能性や、日常生活で身分証明として使用する際に支障が出ることがあります。有効期間をきちんと確認し、忘れずに更新手続きを行うようにしてください。
Q42:長期間日本を離れる場合、再入国許可は必要ですか?みなし再入国許可とは何ですか?
A42:はい、永住者の方が日本から出国し、1年を超えて海外に滞在する予定の場合は、出国前に再入国許可を取得する必要があります。これを取得せずに1年以上出国してしまうと、永住者の在留資格を失ってしまう可能性があります。
一方、「みなし再入国許可」という制度もあります。これは、有効な旅券と在留カードを所持する永住者(および中長期在留者)が、出国の日から1年以内に日本での活動を継続するために再入国する場合に、原則として通常の再入国許可の取得を不要とする制度です。
再入国許可とみなし再入国許可の比較:
項目 | 再入国許可 | みなし再入国許可 |
有効期間 | 最大5年間(在留カードの有効期間内) | 出国の日から1年間 |
申請手続き | 出国前に地方出入国在留管理局で申請が必要 | 出国時に空港等で、再入国出国記録(再入国EDカード)の所定の欄にチェックを入れる等、意思表示をすれば手続き完了(原則申請不要) |
手数料 | シングル:3,000円 マルチ :6,000円 | 不要 |
主な利用ケース | 1年を超えて海外に滞在する予定がある場合 | 出国後1年以内に再入国する予定の場合 |
注意点:
みなし再入国許可の有効期間延長は不可:
みなし再入国許可で出国した場合、その有効期間(出国後1年)を海外で延長することはできません。1年を超えて滞在する可能性が少しでもある場合は、最初から通常の再入国許可を取得しておく方が安全です。
在留カードの有効期間:
再入国許可の有効期間は、在留カードの有効期間を超えることはできません。在留カードの更新時期も考慮に入れる必要があります。
ご自身の海外滞在予定期間に応じて、適切な再入国手続きを選択することが重要です。不明な場合は、事前に地方出入国在留管理局に確認してください。
Q43:永住許可が取り消されることはありますか?どのような場合に取り消されますか?
A43:はい、永住許可は一度取得すれば永久に安泰というわけではなく、一定の事由に該当した場合には取り消されることがあります。出入国管理及び難民認定法第22条の4に、永住許可の取消事由が定められています。
主な取消事由は以下の通りです。
虚偽の申請による許可:
永住許可申請の際に、偽った情報を申告したり、偽造・変造された文書や図画を提出したりして、不正に許可を受けたと認められる場合。
住居地の届出義務違反:
正当な理由なく、新しい住居地を定めた日から90日以内に、法務大臣(実際には地方出入国在留管理局)にその住居地を届け出なかった場合。(転居後の届出義務)
虚偽の住居地を届け出た場合。
再入国許可(みなし再入国許可を含む)を受けずに出国した場合:
再入国許可を受けずに(またはみなし再入国許可の有効期間を超えて)日本から出国し、永住者の在留資格を喪失した場合(これは厳密には「取消」とは異なりますが、結果として永住資格を失います)。
日本国の利益に著しく反する行為を行った場合(※これは退去強制事由に該当する場合が多い):
重大な犯罪を犯して懲役刑や禁錮刑に処せられた場合(執行猶予が付いた場合も含む)。
麻薬、大麻、覚醒剤などの薬物犯罪に関与した場合。
売春に直接関係する業務に従事した場合。
不法就労をあっせんした場合。
その他、日本の安全や公序良俗を著しく害する行為を行った場合。
これらの事由に該当すると、法務大臣は永住許可を取り消すことができます。永住者となっても、引き続き日本の法令を遵守し、善良な市民として生活することが求められます。特に、虚偽申請や重大な犯罪は、永住資格を失う直接的な原因となりますので、絶対に避けるべきです。
Q44:永住者になった後、日本の社会保障制度(年金、健康保険など)はどうなりますか?
A44:永住者になった後も、日本の社会保障制度(年金、健康保険など)への加入義務や権利は、基本的に永住許可取得前と変わりません。永住者も日本に居住する限り、これらの制度の対象となります。
Q45:永住者として日本で生活する上で、気をつけるべき法律やルールはありますか?
A45:永住者として日本で生活する上で気をつけるべき法律やルールは、基本的には日本人と同様に、日本の全ての法令を遵守することです。永住者だからといって特別な免除があるわけではありません。むしろ、永住資格を維持するためには、より一層の注意が求められるとも言えます。
7. その他
Q46:就労ビザの種類によって、永住許可申請の有利不利はありますか?
A46:原則として、永住許可の審査において、特定の就労ビザ(在留資格)の種類が直接的に有利または不利になるということはありません。審査は、あくまで個々の申請者が永住許可の要件(素行善良、独立生計、国益合致)を満たしているかどうかで判断されます。
しかし、間接的に影響する可能性のある要素は存在します。
在留期間:
永住許可の国益要件の一つに、「現に有している在留資格について、最長の在留期間をもって在留していること」という目安があります(当面は「3年」でも可とされています)。一部の在留資格では、最初から長期の在留期間が付与されにくい場合があり、その場合は結果的に永住申請までの道のりが長くなる可能性があります。
収入の安定性:
在留資格によっては、一般的な給与水準や雇用の安定性が異なる場合があります。例えば、専門性が高く需要のある分野の就労資格であれば、高収入で安定した職に就きやすく、独立生計要件を満たしやすい傾向があるかもしれません。
専門性や日本への貢献度:
「高度専門職」の在留資格のように、明確にポイント制で優遇措置が設けられている場合は、居住要件が大幅に緩和されるため、有利と言えます。また、それ以外の就労資格であっても、その分野での高い専門性や日本社会への貢献度が客観的に示せる場合は、国益要件の判断においてプラスに評価される可能性があります。
活動内容の継続性:
どのような就労資格であれ、許可された活動を継続して行い、安定した生活基盤を築いていることが重要です。
したがって、就労ビザの種類そのものよりも、そのビザ(在留資格)でどのような活動を行い、どのような実績を積み重ねてきたか、そしてそれが永住許可の各要件をどのように満たしているかが重要となります。
Q47:会社の規模や経営状況は、永住許可の審査に影響しますか?
A47:勤務先の会社の規模(大企業か中小企業かなど)や経営状況が、永住許可の審査に直接的な影響を与えることは原則としてありません。審査の主眼は、あくまで申請者個人の資質や状況です。
しかし、間接的に以下の点で考慮される可能性はあります。
社会保険への加入状況:
会社が適正に社会保険(健康保険、厚生年金など)に加入しており、申請者も被保険者として保険料を納付していることは重要です。もし会社が社会保険の加入手続きを怠っているような場合は、申請者個人の問題ではなくとも、審査に影響が出る可能性は否定できません。
申請者が経営者・役員の場合:
申請者自身が会社の経営者や役員である場合(例:「経営・管理」の在留資格)、会社の経営状況や財務状況、納税状況などは、申請者自身の独立生計能力や素行善良性(法人としての納税義務履行など)を判断する上でより直接的に審査の対象となります。
基本的には、申請者ご自身の職務内容、役職、勤続年数、収入、納税状況、社会保険の加入状況などが個別に評価されます。大企業勤務でなくても、安定した職場で真面目に勤務し、要件を満たしていれば永住許可の可能性は十分にあります。
Q48:フリーランス(個人事業主)でも永住許可は取得できますか?注意点はありますか?
A48:はい、フリーランス(個人事業主)として活動されている方でも、永住許可を取得することは可能です。会社員と同様に、永住許可の要件(素行善良、独立生計、国益合致)を満たしているかどうかが審査されます。
ただし、フリーランスの方が永住許可を申請する際には、特に以下の点に注意が必要です。
独立生計要件の証明:
収入の安定性と継続性の立証:
会社員に比べて収入が変動しやすいため、確定申告書(控え)や納税証明書などを通じて、安定かつ継続的な収入があることをより慎重に証明する必要があります。単年度の収入が高いだけでは不十分で、複数年度にわたり一定水準以上の所得を維持していることが求められます。
事業の実態と将来性:
行っている事業の内容、取引先との契約状況、事業の将来性なども、収入の安定性を補強する材料として考慮される場合があります。事業計画書や主要な取引先との契約書の写しなどを任意で提出することも有効です。
所得の種類:
事業所得、不動産所得など、どのような種類の所得で生計を立てているかを明確にする必要があります。
公的義務の履行:
納税:
所得税、住民税、消費税(課税事業者の場合)、個人事業税などを適正に申告し、納期限までに納付していることが極めて重要です。
年金・健康保険:
国民年金および国民健康保険(または文芸美術国民健康保険組合など)に適切に加入し、保険料を遅滞なく納付していることを証明する必要があります。会社員と異なり、自身で手続き・納付を行うため、漏れがないかしっかり確認が必要です。
職業の証明:
開業届の控え、事業を行っていることを客観的に示す資料(例:ウェブサイト、業務委託契約書、請求書・領収書の控えなど)の提出が求められることがあります。
理由書での補足:
フリーランスとしての活動状況や将来の展望、日本社会への貢献などを理由書で具体的に説明することも有効です。
フリーランスの方は、ご自身の事業と生活の安定性を客観的な資料でしっかりと示すことが、永住許可を得るための鍵となります。帳簿や記録をきちんと整理し、公的義務を誠実に履行することが何よりも大切です。
Q49:永住許可申請と並行して、他の在留資格の更新申請はできますか?
A49:はい、永住許可申請を行っている最中に、現在お持ちの在留資格の在留期間が満了日を迎える場合は、永住許可申請とは別に、在留期間更新許可申請を行う必要があり、これは可能です。手続きが二重になるため煩雑に感じるかもしれませんが、合法的な滞在を維持するためには不可欠ですので、注意が必要です。
Q50:長後行政書士事務所に永住許可申請を依頼するメリットは何ですか?
A50: 長後行政書士事務所に永住許可申請をご依頼いただくことには、以下のようなメリットがございます。
専門家による的確なアドバイスと戦略立案:
お客様一人ひとりの状況(在留歴、職歴、収入、家族構成、過去の経歴など)を詳細にヒアリングし、永住許可の可能性を的確に判断いたします。
許可取得に向けて、どのような書類を準備し、どのような点をアピールすべきか、個別の状況に合わせた最適な申請戦略をご提案します。
質の高い申請書類の作成サポート:
永住許可申請は、提出書類の正確性と網羅性が極めて重要です。当事務所では、豊富な経験に基づき、審査官に分かりやすく、かつ説得力のある申請書類(理由書を含む)の作成をサポートいたします。
お客様ご自身では気づきにくい細かな点や、有利になる可能性のある情報の掘り起こしもお手伝いします。
手続きの負担軽減と時間節約:
複雑で煩雑な書類収集や作成、地方出入国在留管理局への申請手続き(取次申請)などを代行することで、お客様の大切な時間と労力を大幅に軽減いたします。
お客様は、ご自身の仕事や日常生活に集中していただきながら、永住許可申請を進めることができます。
最新情報の把握と的確な対応:
出入国管理行政の運用や審査の傾向は、時に変更されることがあります。当事務所では、常に最新の情報を収集し、的確な対応を心がけております。
不許可リスクの低減と再申請サポート:
専門家が関与することで、書類の不備や説明不足による不許可リスクを最小限に抑えることを目指します。
万が一、不許可となった場合でも、その理由を詳細に分析し、再申請に向けた具体的な対策とサポートをご提供いたします。
安心のコミュニケーション:
申請準備から結果通知まで、お客様とのコミュニケーションを大切にし、進捗状況を丁寧にご報告いたします。ご不安な点やご不明な点があれば、いつでもお気軽にご相談いただける体制を整えております。
長後行政書士事務所は、お客様の永住許可取得という目標達成に向けて、誠心誠意サポートさせていただきます。初回のご相談は無料でお受けしておりますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。
参考:
出入国在留管理庁「永住許可に関するガイドライン」:
https://www.moj.go.jp/isa/applications/resources/nyukan_nyukan50.html
出入国在留管理庁「永住許可申請」:
出入国在留管理庁「我が国への貢献があると認められる者への永住許可のガイドライン」:
https://www.moj.go.jp/isa/applications/resources/nyukan_nyukan36.html
出入国在留管理庁「高度人材ポイント制による出入国在留管理上の優遇制度」:
https://www.moj.go.jp/isa/applications/resources/newimmiact_3_index.html
出入国在留管理庁「在留カードの有効期間の更新申請」:
https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/nyuukokukanri10_00011.html
出入国在留管理庁「みなし再入国許可」:
https://www.moj.go.jp/isa/immigration/procedures/minashisainyukoku_00001.html
出入国在留管理庁「在留資格『永住者』の許可の取消し」:
https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/torikeshi_00002.html
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