【高度専門職】高度人材に関するQ&A
- 行政書士 日下 雄一朗
- 6月24日
- 読了時間: 28分

外国籍の皆様が、高度人材の申請をお考えになる際に抱く様々な疑問にお答えするため、高度専門職(高度人材)に関するQ&Aをまとめました。 この情報が、皆様の申請手続きの一助となれば幸いです。
ご不明な点や、より詳しいご相談をご希望の場合は、どうぞお気軽に長後行政書士事務所までお問い合わせください。
目次
1.制度の基本
Q1:在留資格 高度専門職とは、どのような資格ですか。
A1:在留資格 高度専門職は、日本の学術研究や経済の発展に貢献することが期待される、高度な能力を持つ外国人人材を受け入れるために創設された在留資格です。 この制度は、申請者の学歴、職歴、年収、研究実績などをポイントに換算し、合計点数が70点に達した場合に許可される点が大きな特徴です。 許可されると、在留期間「5年」が付与されるほか、後述する様々な優遇措置を受けることができます。
Q2:高度専門職1号にはどのような種類がありますか。
A2:高度専門職1号の活動内容は、以下の3つの類型に分類されています。
活動類型 | 正式名称 | 主な対象活動 |
高度専門職1号(イ) | 高度学術研究活動 | 日本の公私の機関との契約に基づいて行う研究、研究の指導、教育をする活動。大学教授や研究者などが該当します。 |
高度専門職1号(ロ) | 高度専門・技術活動 | 日本の公私の機関との契約に基づいて行う、自然科学又は人文科学の分野に属する知識又は技術を要する業務に従事する活動。エンジニア、開発者、医者などが該当します。 |
高度専門職1号(ハ) | 高度経営・管理活動 | 日本の公私の機関において事業の経営を行い、又は管理に従事する活動。企業の経営者や管理職などが該当します。 |
Q3:高度専門職1号と2号の違いは何ですか。
A3:高度専門職1号と2号は、在留期間と活動範囲に大きな違いがあります。
項目 | 高度専門職1号 | 高度専門職2号 |
対象者 | ポイント計算で70点以上の方 | 高度専門職1号で3年以上活動した方 |
在留期間 | 5年 | 無期限 |
活動内容 | 許可された類型(イ・ロ・ハ)の活動に加え、関連事業の経営などが可能 | 1号(イ・ロ・ハ)の活動内容全てを行うことができ、他の就労資格の活動もほぼ網羅 |
簡潔に言えば、1号は有期(5年)の在留資格であり、2号は高度人材として日本への長期的な貢献が認められた方に与えられる無期限の在留資格です。2号へ移行することで、より安定した身分で、より自由度の高い活動が可能となります。
Q4:高度専門職制度が創設された目的は何ですか。
A4:高度専門職制度が創失された主な目的は、我が国の産業にイノベーションをもたらすとともに、日本人との切磋琢磨を通じて専門的・技術的な労働市場の発展を促し、我が国労働市場の効率性を高めることが期待されることにあります(出入国在留管理庁「高度人材ポイント制とは?」より)。
この目的を達成するため、ポイント制という客観的な基準を設け、基準を満たす人材に対しては各種の優遇措置を与えることで、日本で活動する魅力を高めています。
Q5:他の就労ビザと高度専門職ビザの最も大きな違いは何ですか。
A5:他の就労ビザ(例:「技術・人文知識・国際業務」「経営・管理」など)と高度専門職ビザの最も大きな違いは、以下の3点に集約されます。
許可基準:
他の就労ビザが学歴や職歴、活動内容の適合性を個別に審査するのに対し、高度専門職は学歴、職歴、年収などを点数化する「ポイント制」という客観的な基準で評価されます。
活動範囲:
一般的な就労ビザは、許可された範囲の活動に限定されます。これに対して高度専門職では、主たる活動に関連する事業を自ら経営するなど、複合的な活動が認められます。
優遇措置:
高度専門職ビザには、一律「5年」の在留期間の付与(2号においては無期限)、永住許可要件の大幅な緩和、配偶者の就労、親や家事使用人の帯同など、他の就労ビザにはない、幅広い優遇措置が付与されます。
Q6:高度専門職ポイント計算で基準を満たしている場合、必ず許可されますか。
A6:ポイント計算で70点以上の基準を満たしていることは、高度専門職ビザの許可を得るための重要な要件ですが、それだけで必ず許可されるわけではありません。 ポイントはあくまで客観的な能力評価の指標であり、最終的な許可・不許可は、日本の産業及び国民生活に与える影響等の要素を総合的に勘案して出入国在留管理庁が判断します。
Q7:高度専門職外国人の人数は、近年どのように推移していますか。
A7:出入国在留管理庁の公表データによると、高度専門職外国人の人数は増加傾向にあります。 近年の推移だけでも令和3年末時点で約1万5000人であった高度専門職外国人の人数は、令和5年末時点で2万3000人を超え、2号の在留者数も累計1000人を超えて増加傾向にあります。
Q8:高度専門職ビザを取得するデメリットはありますか。
A8:高度専門職ビザは優遇措置が多く、基本的にはメリットの大きい在留資格ですが、いくつかの注意点、あるいは視点によってはデメリットと感じられる点も存在します。
所属機関への依存:
高度専門職ビザは、「どの機関で」「どのような活動を行うか」という点が許可の基礎となっています。そのため、転職する際には、新たな勤務先で再度ポイント計算の基準を満たしていることを証明し、原則として、在留資格変更許可申請を行う必要があります。
ポイントの維持:
在留期間の更新時にも、ポイント基準を満たしていることが求められます。例えば、大幅な年収の減少などによりポイントが70点を下回った場合、更新が許可されず、他の就労ビザへの変更が必要になります。
2.ポイント計算
Q9:高度専門職のポイント計算は、どのように行いますか。
A9:高度専門職のポイント計算は、出入国在留管理庁が定める「ポイント計算表」を用いて行います。この表は、申請者の能力や経歴を客観的に評価するため、以下の主要な項目から構成されています。
学歴
職歴(実務経験)
年収
年齢
研究実績
資格
地位
特別加算(日本語能力、出身大学、成長分野への従事など)
これらの各項目について、ご自身の状況に応じたポイントを足し上げていき、合計が70点以上になるかどうかを確認します。ポイント計算表は、活動類型(イ・ロ・ハ)によって若干内容が異なりますので、ご自身が申請する類型に合った表を使用する必要があります。
Q10:ポイント計算における「学歴」はどのように評価されますか。複数の学位を持っている場合はどうなりますか。
A10:学歴は、取得した学位に応じてポイントが付与されます。複数の分野で学位(例えば、修士号を2つ)を持っている場合でも、ポイントが合算されることはなく、最も高い学位のみが加算の対象となります。なお学歴を証明するためには、卒業証明書等を提出する必要があります。
Q11:ポイント計算の「職歴(実務経験)」について教えてください
A11:職歴は、申請する活動内容に関連する実務経験の年数に応じてポイントが付与されます。この実務経験は連続している必要はありませんが、申請する高度専門職の活動内容と関連性があることを疎明する必要があります。
Q12:ポイント計算の「年収」について教えてください。
A12:年収は高度専門職としての活動に対して、所属機関から支払われる1年間の報酬額を指します。年齢に応じて(ハの場合は年齢に関係なく)、最低限必要とされる年収額と、それ以上の場合の加算ポイントが設定されています。
なお、この年収には賞与(ボーナス)や手当も含まれますが、通勤手当や実費弁償の性質を持つ手当は含まれません。
Q13:年収がポイント基準を満たすかどうかの判断は、いつの時点の収入でされますか。
A13:年収のポイント判断は、申請の時点で見込まれる「将来1年間の報酬額」に基づいて行われます。
これから就職・転職する場合:
雇用契約書や労働条件通知書に記載された報酬月額を12倍するなどして、年間の見込み額を算出します。賞与が見込まれる場合は、前年度の実績などを基にした見込み額を加算できます。
現在の勤務先で継続して申請する場合:
直近の課税証明書や納税証明書に記載された前年の収入額が、1つの基準となります。ただし、申請時点で昇給が決まっている場合は、その見込み額を年収として主張することも可能です。
いずれの場合も、その年収額が支払われることの確実性を、年収見込証明書(給与支払見込み証明書)等の資料で疎明する必要があります。
Q14:ポイント計算における「年齢」の要件について、若い方が有利なのはなぜですか。
A14:高度外国人材を我が国に受け入れるに当たって「優秀な人材をできる限り多く、できる限り長く受け入れる」ことが基本目標とされており(総務省「高度人材ポイント制の内容及び見直しの経緯」より抜粋)、若い人材は将来の成長や長期的な貢献が期待できるポテンシャルを秘めていると考えられますので、このような政策的意図から年齢が若いほどポイントが優遇されるものと思われます。
Q15:ポイント計算の「研究実績」について教えてください。
A15:研究実績による加算は、「高度学術研究活動(イ)」及び「高度専門・技術活動(ロ)」を申請する方を対象としており、下記のような実績が求められます。
研究実績の種類 | 必要件数 |
特許の発明 | 1件以上 |
外国政府から補助金、競争的資金等を受けた研究に従事 | 3件以上 |
学術論文データベースに登載されている学術雑誌に論文が掲載される | 3本以上 |
その他法務大臣が認める研究実績 | ー |
なお、これらの実績を疎明するため、特許証の写し、補助金交付決定通知書の写し、掲載された学術論文に関する情報を記載した文書等の提出が必要となります。
Q16:「日本の国家資格」を持っているとポイントが加算されるそうですが、どのような資格が対象ですか。
A16:申請する活動内容に関連する日本の国家資格を保有している場合、「高度専門・技術活動(ロ)」においてのみ、ポイントが加算されます。対象となるのは「業務独占資格」または「名称独占資格」、その他IT分野の専門家であれば、いわゆる「IT告示」に記載される試験(ITストラテジスト試験や応用情報技術者試験等)の合格者も加算の対象となります。
Q17:日本語能力はどのように評価され、ポイントに加算されますか。
A17:日本語能力は、特別加算の項目に該当し、下記の指標により評価されます。
日本語能力のレベル | ポイント |
日本語能力試験(JLPT)N1合格 | 15点 |
外国の大学で日本語を専攻して卒業 | 15点 |
日本語能力試験(JLPT)N2 合格 | 10点 |
JLPT N1またはN2の他、BJTビジネス日本語能力テストも評価の対象となります(400点以上で10点加算、480点以上で15点加算)。また日本語を専攻して大学を卒業した場合は、JLPT N1合格と同等の15点が加算されます。なお疎明資料として、合格証明書や卒業証明書が必要となります。
Q18:ポイント計算において、卒業した大学が特定のリストに掲載されていると加算があると聞きました。詳しく教えてください。
A18:特別加算の項目の1つとして、法務大臣が告示で定める特定の大学を卒業した場合、10点が加算されます。対象となる大学は、以下のいずれかのランキングに含まれている大学です。
QS・ワールド・ユニバーシティー・ランキングス
THE・ワールド・ユニバーシティー・ランキングス
アカデミック・ランキング・オブ・ワールド・ユニバーシティズ
上記のうち、いずれか2つ以上のランキングに300位以内でランクインしている外国の大学、またはいずれかにランクインしている日本の大学が加算の対象となります。なお対象大学のリストは法務省のウェブサイトで確認することが可能です。
Q19:成長分野の先端プロジェクトに従事する場合の加算について、詳細を教えてください。
A19:特別加算の項目の1つです。総務省や文部科学省といった各省が関与する、将来において成長発展が期待される分野の先端的な事業(プロジェクト)に従事する外国人材に対して、10点の特別加算が認められます。 この加算を受けるためには、ご自身が従事するプロジェクトが「特別加算の対象となる先端事業」に該当している必要があります。なお対象事業については法務省のウェブサイトで確認することが可能です。
Q20:職務に関連する外国の資格や表彰歴は、ポイントに加算されますか。
A20:外国弁護士や米国公認会計士といった一部の資格や、レッドドット・デザイン賞等の一部の表彰歴については、外国のものでもポイント加算の対象となります(特別加算)。なお対象資格・表彰については法務省のウェブサイトで確認することが可能です。
Q21:ポイント計算は自己申告のみで認められますか。それとも証明資料が必要ですか。
A21:ポイント計算は、自己申告だけでは認められません。加算を希望する全ての項目について、その内容が客観的な事実であることを疎明するための疎明資料の提出が必須です。疎明資料を提出できない場合、その項目でのポイント加算は認められませんので、申請にあたっては、事前にこれらの疎明資料を不備なく準備することが必要となります。
Q22:ポイント計算の結果、70点にわずかに足りません。何か対策はありますか。
A22:合計点が70点に満たない場合、許可を受けることができず、またそれに対する補填的手法も存在していません。よってポイント計算の結果70点に届かない場合、下記のようなポイントを増やす手法を検討するか、または別の在留資格を検討する必要があります。
ポイントの再確認:
まず、ご自身の経歴で見落としている加算項目がないか、もう一度ポイント計算表を精査します。例えば、卒業大学が加算対象リストに含まれていないか、加算対象の国家資格を有していないか、などです。
日本語能力の向上:
現在日本語能力での加算がない場合、日本語能力試験(JLPT)N2に合格すれば10点、N1に合格すれば15点が加算されます。
年収の交渉:
勤務先との交渉が可能であれば、報酬額を上げることで年収ポイントの区分を上げられないか、あるいは転職により年収の増額を見込めないか交渉を行うのも1つの手です。
3.高度専門職の変更と活動
Q23:転職した場合、ポイントの再計算は必要ですか。
A23:はい、必要です。 高度専門職ビザは、特定の所属機関(会社など)で活動することを前提に許可されています。そのため、転職するということは、その前提が変更になることを意味します。 新しい勤務先での活動内容や年収を基に、改めてポイントを計算し、70点以上であることを証明した上で、「在留資格変更許可申請」を行う必要があります。 この手続きを怠って転職し、就労を続けた場合、在留資格の取消事由に該当する可能性がありますので、必ず転職前に手続きについて専門家にご相談ください。
Q24:高度専門職1号の「複合的な在留活動」とは、具体的にどのようなことができますか。
A24:「複合的な在留活動の許容」とは、高度専門職1号の主たる活動と併せて、それに関連する事業を自ら経営したり、他の業務に従事したりすることが認められる優遇措置です。例えば、大学教授(高度専門職1号イ)が、自身の研究成果を基にしたベンチャー企業を設立し経営する、といった活動が可能となります。
他の就労ビザでは、このような複数の活動を行うには資格外活動許可など別の手続きが必要になりますが、高度専門職では一定の範囲内でこれが認められており、より柔軟なキャリア形成が可能です。
高度専門職の優遇措置
Q25:高度専門職ビザを持つと、永住許可の要件が緩和されると聞きました。具体的に教えてください。
A25:はい、これは高度専門職ビザの最も大きなメリットの1つです。通常、永住許可を申請するには、原則として「引き続き10年以上日本に在留していること」が必要ですが、高度専門職の場合はこの期間が大幅に短縮されます。
申請者の条件 | 必要な在留期間 |
高度専門職のポイントが70点以上の方 | 3年 |
高度専門職のポイントが80点以上の方 | 1年 |
この「3年」または「1年」という期間は、過去にさかのぼってポイント計算を行い、その時点から継続して70点または80点以上であったことを証明できれば、高度専門職ビザに変更してからではなくても、その期間を満たしていると認められます。 この要件緩和により、日本での安定した生活基盤を早期に築くことが可能になります。
Q26:高度専門職の配偶者も、働くことができるのでしょうか。
A26:高度専門職外国人の配偶者は、一定の要件を満たせば、就労活動に大きな制限のない「特定活動(告示33号)」という在留資格を得て働くことが可能です。 他の在留資格(「家族滞在」等)の場合、就労するには資格外活動許可が必要な他、就労時間にも制限が付くものが多いですが、「特定活動(告示33号)」ではその制限もありません。
Q27:高度専門職の親を日本に呼び寄せることはできますか。
A27:一定の条件下で可能です。これは他の在留資格にはない、高度専門職特有の優遇措置です。 親の帯同が認められるのは、以下のいずれかの目的の場合です。
高度専門職外国人またはその配偶者の、7歳未満の子の養育を行うため
高度専門職外国人の妊娠中の配偶者、または妊娠中の高度専門職本人への介助・家事支援を行うため
この制度により、特に小さなお子様がいる高度人材が、本国の親のサポートを受けながら日本で安心してキャリアを継続できる環境が整えられます。
Q28:高度専門職で、家事使用人を雇用することはできますか。
A28:はい、高度専門職の世帯年収が1,000万円以上である等の一定の条件を満たす場合、外国で雇用していた家事使用人を引き続き日本で雇用するか、または新たに家事使用人を雇用することが認められます。これも高度専門職の優遇措置の1つです。
Q29:高度専門職の優遇措置として、入国・在留手続きが優先的に処理されるというのは本当ですか。
A29:はい、本当です。高度専門職ビザに関する入国・在留審査は、他の在留資格に比べて優先的に処理されることになっています。 出入国在留管理庁は、その処理目標期間を以下のように公表しています。
入国前審査:
申請受理からおおむね10日以内を目途
在留審査:
申請受理からおおむね5日以内を目途
これはあくまで目標であり、個別の事案によってはこれ以上かかる場合もありますが、一般的な就労ビザの審査が通常1〜3ヶ月程度かかることを考えると、大幅に迅速な処理が期待できると言えます。
Q30:高度専門職1号で許可される在留期間は「5年」で固定ですか。
A30:はい、高度専門職1号の在留資格が許可された場合、法律により一律で「5年」の在留期間が付与されます。 他の就労ビザ(例えば「技術・人文知識・国際業務」など)では、初回の申請では1年、次は3年といったように、在留状況に応じて異なる在留期間が許可されるのが一般的です。 しかし、高度専門職の場合は、初回申請時から最長の5年が与えられるため、頻繁に更新手続きを行う必要がなく、安定した身分で日本に在留することが可能となります。
その他 よくある質問等
Q31高度専門職の配偶者として在留していますが、離婚した場合、在留資格はどうなりますか。
A31:高度専門職の配偶者としての在留資格は、その名の通り、高度専門職である本人との婚姻関係が基盤となっています。 そのため、離婚または死別した場合は、その在留資格の基盤を失うことになります。14日以内に出入国在留管理庁への届出が必要です。 その後、引き続き日本での在留を希望する場合は、ご自身の学歴や職歴に基づき、「技術・人文知識・国際業務」などの別の在留資格への変更許可申請を行う必要があります。自動的に在留が継続されるわけではないため、速やかな対応が求められます。
Q32:高度専門職の優遇措置を受けるために、何か特別な手続きが必要ですか。
A32:原則として、特別な手続きは不要です。なお配偶者等の在留資格変更(特定活動への変更)を希望される場合は、別途そのための手続きが必要となります。
Q33:現在、他の就労ビザで在留していますが、高度専門職に変更する手続きの流れを教えてください。
A33:現在、「技術・人文知識・国際業務」などの就労ビザで日本に在留している方が高度専門職1号へ変更する場合、手続きは以下の流れで進めるのが一般的です。
要件の確認とポイント計算:
ご自身の学歴、職歴、年収などがポイント計算基準(70点以上)を満たすかを確認します。
証明資料の収集:
ポイント計算の根拠となる卒業証明書、在職証明書、課税証明書、日本語能力証明書などを収集します。
申請書類の作成:
在留資格変更許可申請書
ポイント計算表
ポイントを証明するための資料
その他、所属機関に関する資料など
出入国在留管理庁への申請:
お住まいの地域を管轄する出入国在留管理庁に、準備した全ての書類を提出します。
審査:
審査期間中、追加資料の提出を求められる場合があります。
結果の受領:
許可の場合は、新しい在留カードが交付されます。不許可の場合は、その理由が通知されます。
Q34:高度専門職の申請に必要な書類には、どのようなものがありますか。
A34主に以下のような書類が必要となります。
書類カテゴリー | 具体的な書類の例 |
申請人本人に関する書類 | 申請書、写真等 |
ポイント計算を証明する書類 | ・ポイント計算表、学歴の証明書(卒業証明書など)、職歴の証明書(在職証明書など)等 |
所属機関(勤務先)に関する書類 | ・会社の登記事項証明書、直近年度の決算報告書の写し、法定調書合計表の写し、パンフレットなど事業内容を明らかにする資料等 |
これらはあくまで一例であり、申請する方の状況や所属機関の規模・業種によって、必要となる書類は異なります。
Q35:高度専門職の審査期間はどのくらいですか。
A35:令和7年4月度における平均処理期間は下記の通りとなります。
在留資格認定証明書交付申請:
イ:20.5日、ロ:47.9日、ハ:150.6日
在留資格変更許可申請:
イ:31.7日、ロ:38.4日、ハ:58.6日
在留期間更新許可申請:
イ:41日、ロ:36.7日、ハ:該当なし。
なお審査期間は時期や状況により変動するため、上記はあくまで目安としてお考え下さい。
Q36:これから日本で働く予定ですが、海外から直接、高度専門職を申請することはできますか。
A36:はい、可能です。その場合の手続きは「在留資格認定証明書交付申請」となります。 この手続きは、海外にいる申請人に代わって、日本国内の受入れ機関(勤務先の会社など)の職員や、依頼を受けた行政書士が代理人として、日本の出入国在留管理庁に対して行います。
Q37:高度専門職1号から2号へ変更する際の、具体的な手続きと要件を教えてください。
A37:高度専門職1号から2号へ変更するには、「在留資格変更許可申請」を行う必要があります。その主な要件は以下の通りです。
活動実績:
高度専門職1号の在留資格をもって、日本で3年以上継続して活動していること。
素行要件:
日本の法令を遵守し、素行が善良であること。納税義務などをきちんと果たしていることが重要です。
ポイントの維持:
2号への変更申請時点において、ポイント計算で70点以上を有していることが求められます。
2号へ変更すると在留期間が無期限となり、活動の自由度も格段に上がるため、安定した日本での生活を目指す方にとって大きな目標となります。
Q38:申請において、所属機関(勤務先の会社)はどのような協力が必要ですか。
A38:主に、以下のような書類の提供を依頼することになります。
会社の基本情報に関する書類:
登記事項証明書
定款の写し
会社案内、パンフレットなど
財務状況に関する書類:
直近年度の決算報告書(貸借対照表、損益計算書)の写し
雇用状況に関する書類:
前年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表
申請人との契約に関する書類:
雇用契約書または労働条件通知書の写し
職務内容を具体的に説明した文書
これらの書類をスムーズに準備してもらうためにも、申請の目的と必要性を事前に会社の人事担当者などに十分に説明し、良好な協力関係を築いておくことが重要です。
Q39:高度専門職の地位を維持したまま、転職することは可能ですか。その際の手続きを教えてください。
A39:可能です。この場合転職先の内定後、転職前に在留資格変更許可申請を行う必要があります。この申請が許可されて初めて、新しい勤務先で適法に就労することが可能となりますので、前の会社を退職してから新しい会社で働き始めるまでの間に、空白期間が生じないよう注意が必要です。 また変更許可申請とは別に、所属機関が変更されてから14日以内に、出入国在留管理庁へ「契約機関に関する届出」を提出する必要もあります。
Q40: 高度専門職2号を取得すれば、活動に制限は全くなくなりますか。
A40:高度専門職2号を取得すると、在留期間が無期限になり、活動の自由度は大幅に向上しますが、「全く制限がなくなる」わけではありません。例えば単純労働に属する就労活動等は原則不可となります。
Q41:育児休業を取得する予定です。その間の収入減は次回の更新に影響しますか。
A41:基本的に影響はありません。高度人材ポイント制における年収とは、過去の在留における年収ではなく、申請に係る高度専門職外国人としての活動に従事することにより受ける(予定)年収を意味します。よって育児休業を取得して年収が減少したとしても、育児休業後に元の年収を維持できるのであれば、影響がないといえます。
Q42:親の帯同について、自分の親と配偶者の親を交代で呼び寄せることはできますか。
A42:親の帯同制度は、高度専門職外国人またはその配偶者のいずれか一方の親を呼び寄せることができる制度であり、両親を同時に呼び寄せることはできません。 「交代」については、制度上、明確に禁止されているわけではありませんが、実務上は慎重な判断が必要です。
例えば、まずご自身の親を呼び、その親が帰国した後に、改めて配偶者の親を呼び寄せるための在留資格認定証明書交付申請を行うこと自体は可能です。 しかし、短期間での交代を繰り返すような場合、その必要性や信憑性について、審査がより慎重になる可能性があります。なぜ交代が必要なのか、それぞれの親が来日する具体的な期間と理由などを合理的に説明することが求められるでしょう。
Q43:永住許可の短縮ルート(1年または3年)を利用したいのですが、過去の時点でのポイントはどのように証明すればよいですか。
A43:永住許可の年数短縮要件(1年:80点以上、3年:70点以上)を利用する場合、申請時から遡って1年間または3年間、継続してポイント基準を満たしていることを証明する必要があります。
その証明は、以下の2つの時点の資料を提出することによって行います。
永住許可申請の時点の資料:
現在の職務内容や年収に基づき、ポイントが基準を満たしていることを証明する資料(現在のポイント計算表と証明資料)
基準期間の開始時点(1年前または3年前)の資料:
1年前または3年前の時点でも、同様にポイントが基準を満たしていたことを証明する資料(当時の年収がわかる課税証明書や、当時の職務内容がわかる在職証明書などを基に作成したポイント計算表と証明資料、またはポイント計算結果通知書)
この2つの時点でのポイントを立証することで、その間、継続してポイント基準を満たしていたと認められます。
Q44:所属している会社が他の会社に吸収合併されました。何か手続きは必要ですか。
A44:会社の吸収合併や会社分割などにより、雇用契約を結んでいる会社の名称や所在地、法人格が変更になった場合は、「所属機関に関する届出」を出入国在留管理庁へ提出する義務があります。この届出は、変更があった日から14日以内に行う必要があります。この届出を怠った場合、在留資格の取消しの対象となったり、次回の更新申請で不利な判断を受けたりする可能性があります。
また 原則は上記の届出のみとなりますが、合併に伴い職務内容や役職、報酬が大きく変更され、高度専門職のポイント基準に影響が出る場合は、別途「在留資格変更許可申請」を検討すべき場合もございます。
Q45:ポイントが80点以上ある場合、70点の場合と比べて審査で有利になりますか。
A45:高度専門職1号の許可基準は「70点以上」であり、審査面において70点の方と80点以上の方との間に直接的な差はありません。
Q46:高度専門職から「技術・人文知識・国際業務」など他のビザに変更した場合、永住申請に必要な10年の在留期間はリセットされますか。
A46:いいえ、リセットされません。 永住許可の原則要件である「引き続き10年以上日本に在留していること」の計算において、在留期間は在留資格の種類を問わず、継続してカウントされます。また高度人材ポイント制を活用した永住許可の居住要件緩和を用いる場合でも、3年間(80点以上の場合は1年間)のポイント保持を証明できるのであれば、高度専門職の資格から在留資格を変更していたとしても申請が可能です。
Q47:副業(複合的な在留活動)を始める際に、出入国在留管理庁への届出は必要ですか。
A47:いいえ、高度専門職1号の優遇措置である「複合的な在留活動」として、主たる活動に関連する事業の経営などを行う場合、その活動を開始するにあたって、出入国在留管理庁へ届出や許可申請を行う必要はありません。 ただし、副業として行う事業は、あくまで主たる高度専門職の活動と関連している必要があります。全く関連のない事業を始める場合は、別途の在留資格変更や資格外活動許可が必要となる可能性があるので注意が必要です。
Q48:高度専門職1号から2号へ変更する際の「素行が善良であること」は、永住申請の時と同じ基準ですか。
A48:はい、ほぼ同等、あるいはそれに準ずる基準で審査されるとお考えください。 高度専門職2号は無期限の在留資格であり、永住者と並んで非常に安定した法的地位です。そのため、申請人に求められる「素行の善良性」も高い水準となります。
Q49:所属機関が倒産した場合、高度専門職ビザはどうなりますか。
A49:所属機関の倒産や解雇などにより、意図せず職を失った場合、高度専門職の在留資格の基盤が失われることになります。 まず、会社を離職した日から14日以内に、出入国在留管理庁へ「契約機関に関する届出」を提出する義務があります。
その後、速やかに次の就職先を見つけ、新たな勤務先で再度、高度専門職の要件を満たすことを証明して「在留資格変更許可申請」を行う必要があります。 正当な理由なく、高度専門職としての活動を3ヶ月以上行わないで在留していると、在留資格の取消事由に該当する可能性があります。万が一、このような状況に陥った場合は、すぐに次の就職活動を開始するとともに、今後の手続きについて速やかに行政書士などの専門家にご相談ください。
Q50:日本の永住権と高度専門職二号では、どちらが良いのでしょうか。
A50:「永住権(永住者ビザ)」と「高度専門職二号」は、どちらも無期限の在留が可能となる、非常に安定した在留資格です。どちらが良いかは、個人の価値観や将来設計によって異なります。
項目 | 高度専門職二号 | 永住者 |
在留期間 | 無期限 | 無期限 |
活動制限 | 就労活動に一部制限あり | 制限なし |
在留カードの更新 | 7年に一度 | 7年に一度 |
優遇措置 | 高度専門職特有の優遇措置あり | 特別な優遇措置はなし |
社会的信用 | 高い | 高い |
転職・失業時の影響 | 資格に影響あり(変更許可申請等が必要) | 資格に影響なし |
ご自身のライフプランにおいて、親の帯同などの優遇措置を引き続き利用したいか、それとも完全な活動の自由度を求めるかによって、選択が分かれるでしょう。
長後行政書士事務所では、相談者様一人ひとりの状況を丁寧に把握し、最適なアドバイスとサポートを提供することで、在留資格の取得という目標達成に向けて全力でお手伝いさせて頂いております。
初回相談無料となっておりますので、まずはお気軽にお問い合わせください
参考:
出入国在留管理庁「高度人材ポイント制とは?」:https://www.moj.go.jp/isa/applications/resources/newimmiact_3_system_index.html
出入国在留管理庁「在留資格 高度専門職」:https://www.moj.go.jp/isa/applications/status/designatedactivities02_00004.html
出入国在留管理庁「我が国における高度人材外国人材の受入れ状況等について」:https://www.moj.go.jp/isa/applications/resources/nyuukokukanri06_00088.html
e-Gov法令検索:
https://elaws.e-gov.go.jp/ (出入国管理及び難民認定法、関連省令・告示)
Comments