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【短期滞在】在留資格「短期滞在」とは? その概要、要件、申請方法を網羅的に解説

  • 執筆者の写真: 行政書士 日下 雄一朗
    行政書士 日下 雄一朗
  • 10月7日
  • 読了時間: 10分
旅行をする親子

日本への入国を希望する外国人の方々にとって、その目的に合致した在留資格を正しく理解することは、円滑な手続と充実した滞在の第一歩であるといえます。数ある在留資格の中でも、「短期滞在」は観光、親族・知人訪問、短期商用など、極めて広範な目的で利用される基本的な在留資格です。


本記事では、在留資格「短期滞在」について、その本質的な定義から、許可される具体的な活動内容、滞在日数、査証(ビザ)申請の手順、さらには来日後の重要な留意点に至るまで、専門家の視点から解説いたします。


目次

  1. 在留資格「短期滞在」の基礎知識

  2. 「短期滞在」で許可される具体的な活動内容

  3. 滞在可能日数と査証(ビザ)の要否

  4. 「短期滞在」の査証(ビザ)申請手続

  5. 「短期滞在」で活動するうえでの注意点

  6. 他の在留資格との相違点

  7. 「短期滞在」に関するよくある質問(Q&A)

  8. まとめ


1.在留資格「短期滞在」とは

在留資格「短期滞在」とは、その名の通り比較的短い期間、日本に滞在する外国人に対して付与される在留資格のことで、具体的には、観光、保養、スポーツ、親族や友人、恋人への訪問等を目的とする場合に用いられます。



2.「短期滞在」で許可される具体的な活動内容

「短期滞在」の在留資格で許可される活動は、前述の通り多岐にわたりますが、その全ては「非報酬活動」であることが前提となります。


収入を伴わない活動が原則

「短期滞在」では、日本国内で労働の対価として報酬や収入を得る活動は認められていません。これには、企業に雇用されて給与を得ることはもちろん、個人事業主として事業を運営すること、フリーランスとして業務委託契約に基づき報酬を得ること、さらには短期間のアルバイトなども含まれます。

ただし、業として行うものではない講演に対する謝金、日常生活に伴う臨時の報酬等ついては、例外的に報酬と見なされない場合があります。この判断は個別の事案ごとに慎重に行われるため、注意が必要です。


活動内容の具体例

「短期滞在」で想定される主な活動は、以下の通りです。

カテゴリ

具体的な活動内容

観光・レクリエーション

観光、娯楽、休養、スポーツ観戦、文化体験

親族・知人訪問

日本に在住する家族、親戚、友人、恋人などを訪問し、交流する活動

短期商用

市場調査、業務連絡、商談、契約調印、会議への参加等

文化・学術活動

見学、視察、報酬を受けない講習や会合への参加、学術調査

その他

競技会やコンテストへの参加、病気療養等



3.滞在可能日数と査証(ビザ)の要否

「短期滞在」で日本に滞在できる期間や、入国に際して査証(ビザ)が必要かどうかは、申請人の国籍・地域によって大きく異なります。


滞在可能日数について

「短期滞在」で付与される在留期間は、「90日」、「30日」、または「15日」のいずれかとなります。この期間は、個々の申請内容(滞在目的、滞在予定表など)を審査した上で、入国審査官が決定します。例えば、1週間の観光旅行であれば15日、2ヶ月間の親族訪問であれば90日といったように、必要かつ妥当な期間が付与されるのが一般的です。


査証(ビザ)免除措置国・地域と査証申請が必要な国・地域

日本は、特定の国・地域との間で査証免除措置を実施しています。この措置の対象となる国・地域の旅券(パスポート)を所持している方は、観光や短期商用などの目的で日本を訪れる際、事前に在外公館(日本大使館・総領事館)で査証を取得することなく、日本の空港等で上陸許可申請を行い、「短期滞在」の在留資格を得ることができます。


  • 査証免除国・地域(一例):

    • アジア:韓国、台湾、香港、シンガポール、タイ、マレーシアなど

    • 北米:米国、カナダ

    • 大洋州:オーストラリア、ニュージーランド

    • 中南米:メキシコ、ブラジル、アルゼンチン、チリなど

    • 欧州:英国、フランス、ドイツ、イタリアなど

出典:外務省「査証免除国・地域(短期滞在)


一方で、査証免除措置の対象となっていない国・地域(例:フィリピン、ベトナム、中国、ロシアなど)の方が「短期滞在」で来日を希望する場合は、原則として、来日前に本国、もしくは居住地を管轄する日本の在外公館で査証申請を行う必要があります。



4.「短期滞在」の査証(ビザ)申請手続

査証(ビザ)の申請は、日本国外で行う手続きです。日本国内の出入国在留管理局で手続きを行う在留資格認定証明書交付申請とは異なりますので、混同しないよう注意が必要です。


申請から査証発給までの流れ

一般的な申請プロセスは以下の通りです。なお国・地域や個別の事情により差異が生じる可能性がございます。

Step

手続内容

目安期間

Step 1. 必要書類の準備


日本側(招聘人・身元保証人)と本国側(申請人)でそれぞれ必要書類を準備します。書類のやり取りに時間を要する場合があるため、余裕を持った準備が肝要です。

1週間~1ヶ月

Step 2. 在外公館への申請


申請人が、本国または居住地を管轄する日本の在外公館(または代理申請機関)に準備した書類を提出します。

1日~数日

Step 3. 審査


提出された書類に基づき、在外公館の領事が審査を行います。書類に不備がある場合や、追加の資料提出・面接が求められた場合は、審査期間が長引くことがあります。

約1週間~1ヶ月以上

Step 4. 結果の受領と査証発給


審査が完了すると、結果が通知されます。許可された場合は、パスポートに査証が貼付されて返却されます。

1日


申請における重要書類:「招聘理由書」と「身元保証書」

短期滞在ビザの申請において、日本にいる招聘人や身元保証人が作成する書類は、審査の信憑性を左右する極めて重要な要素となります。


  • 招聘理由書(しょうへいりゆうしょ)

    • 目的: 申請人を日本に招く目的や経緯を具体的に説明するための書類です。

    • 記載内容: 申請人との関係、招聘に至った経緯、日本での具体的な活動予定などを、詳細に記載する必要があります。特に、恋人や友人を個人的に招く場合は、関係性の証明(写真、手紙、通話記録など)も補足資料として求められます。


  • 身元保証書(みもとほしょうしょ)

    • 目的: 申請人が日本滞在中に法規を遵守すること、滞在費や帰国費用について支障がないことを保証するための書類です。

    • 保証人の要件: 身元保証人には、日本に居住し、十分な経済力と社会的信用があることが求められます。通常、安定した職業に就き、納税義務を果たしている日本人または永住者がなることが想定されています。

    • 保証内容: これは法的な債務保証とは異なり、道義的責任を表明するものです。しかし、保証内容が履行されない場合、将来的に身元保証人としての信頼性が損なわれる可能性があるため、安易に引き受けるべきではありません。


これらの書類は、単に形式を整えるだけでなく、記載内容の一貫性と具体性が厳しく審査されることを認識しておく必要があります。



5.「短期滞在」で活動するうえでの注意点

無事に「短期滞在」の在留資格を取得したあとも、注意しなければならない事項がいくつか存在します。


就労の禁止

前述の通り、「短期滞在」では報酬を受ける活動が厳しく禁じられています。「短期滞在」は原則として資格外活動許可の対象にもならないため、滞在費を稼ぐためのアルバイト等も行ってはなりません。


在留期間の更新(延長)の原則不許可

「短期滞在」は、その名の通り短期の滞在を前提とした資格であるため、在留期間の更新(延長)は原則として認められません。例外として、その者の在留が人道上の真にやむを得ない事情又はこれに準ずるような特別な事情に基づくと認められるに足りる相当の理由があるときに限り、許可されることがありますが、単に「もう少し観光したい」「もう少し家族と一緒にいたい」といった個人的な希望による更新はできないので注意が必要です。


他の在留資格への変更の原則不許可

同様に、「短期滞在」から就労資格や留学資格など、他の在留資格への変更も原則として認められません。 日本に滞在中に就職先が見つかったり、進学先が決まったりした場合でも、一度本国へ帰国し、改めて「在留資格認定証明書交付申請」を経て、適切な査証を取得した上で再来日するのが正規の手続となります。

これも更新と同様、日本人との婚姻など「特別の事情」が認められる場合に限り、例外的に変更が許可されることがありますが、そのハードルは極めて高いと認識すべきです。



6.他の在留資格との相違点

「短期滞在」と他の在留資格との相違点は以下のとおりです。

項目

在留資格「短期滞在」

就労資格(技術・人文知識・国際業務など)

留学資格

主たる活動目的

 観光、短期商用、親族訪問等

専門的・技術的分野の職務に従事

教育機関で教育を受ける

就労(報酬活動)

 原則不可

許可(資格で定められた範囲内)

原則不可(資格外活動許可を得れば一定の制約のもと就労可)

在留期間

 15日、30日、90日

5年、3年、1年、3ヶ月など

4年3月を超えない範囲

更新・変更

 原則不可

可(活動実態等により審査)

可(在学状況等により審査)

申請場所

 在外公館(日本国外)

出入国在留管理局(日本国内)

出入国在留管理局(日本国内)



7.「短期滞在」に関するよくある質問(Q&A)

Q1. 短期滞在で来日後、日本で就職先が決まりました。このまま在留資格を変更できますか? 

A1. 前述の通り、原則としてできません。一度出国し、就職先企業を通じて「在留資格認定証明書」を取得した後、改めて就労ビザを申請して再来日するのが基本的な流れとなります。


Q2. 医療目的で日本に来る場合も「短期滞在」になりますか?

 A2. 治療や検診など、医療を受ける目的での滞在は「短期滞在」に含まれます。ただし、長期の入院等が必要となる場合は、「特定活動(医療滞在)」という在留資格を別途申請する必要があります。


Q3. 一度、短期滞在ビザの申請が不許可になりました。再申請は可能ですか? 

A3. 不許可になってから6ヶ月間は、同一目的による申請は不受理(再申請不可)となります。よって、要件該当性や必要資料の精査なしに安易な申請を行うのは、リスクが高い行為であるといえます。また期間経過後に再申請を行う場合、不許可となった理由を十分に分析し、その原因を解消した上で申請しなければ、再び不許可となる可能性が高いといえます。例えば、滞在費用の証明が不十分であったなら、より潤沢な預金残高証明を準備する、招聘理由の信憑性が低いと判断されたなら、二人の関係性をより具体的に示す客観的な資料を追加するなどの対策が必要です。



8.まとめ

在留資格「短期滞在」は、多くの外国人にとって日本を訪れるための入り口となる便利な制度です。しかし、その手軽さの反面、「就労不可」「更新・変更は原則不可」といった厳格な制約が存在します。これらのルールを正しく理解せずに安易に考えていると、予期せぬトラブルに見舞われかねません。


特に、査証申請が必要な国・地域の方を日本に招聘する場合、招聘理由書や身元保証書といった書類の作成には、審査官を納得させるだけの具体性と信憑性が求められます。申請が不許可となれば、申請人本人の落胆はもとより、招聘人や身元保証人にとっても時間的・精神的な負担は大きいものとなります。


個別の事情が複雑であったり、申請手続きに少しでも不安を感じたりする場合は、専門家である行政書士に相談することが、確実かつ円滑な手続きへの近道となるでしょう。


長後行政書士事務所では、相談者様一人ひとりの状況を丁寧に把握し、最適なアドバイスとサポートを提供することで、目標達成に向けて全力でお手伝いさせて頂いております。初回相談無料となっておりますので、まずはお気軽にお問い合わせください。


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