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【家族滞在・短期滞在】家族や友人を日本に招待したいと考えた時に検討すべき2つの在留手続について

  • 執筆者の写真: 行政書士 日下 雄一朗
    行政書士 日下 雄一朗
  • 7月28日
  • 読了時間: 12分

更新日:11月28日

飛行機を前に談笑するふたり

日本で活躍されている在留外国人の方々にとって、本国に残るご家族や親しい友人を日本へ呼び寄せたいと考えるのは自然なことです。しかし、そのための手続きは目的によって大きく異なり、複雑な部分も少なくありません。


一言で「呼ぶ」といっても、配偶者や子と日本で一緒に生活するための「家族滞在」と、親や兄弟、友人を観光などで一時的に招待する「短期滞在」では、準備する書類も手続きの進め方も全く異なります。ご自身の状況や目的に合致した手続きを正確に理解し、計画的に進めることが、円滑な招聘を実現するための鍵となります。


本記事では、専門家である行政書士の視点から、日本で働く外国人が親族や友人を招聘する際の二つの主要な方法、「家族滞在」と「短期滞在」について、その違いから具体的な手続き、必要書類、注意点に至るまで、網羅的に解説いたします。


目次

  1. 日本へ家族や友人を呼ぶための二つの主要な方法

  2. 【中長期滞在】配偶者や子と日本で暮らす「家族滞在」

  3. 【短期滞在】親族や友人を日本へ招待する「短期滞在」

  4. 申請前に確認すべき事項と注意点

  5. まとめ


1.日本へ家族や友人を呼ぶための二つの主要な方法

目的で分かれる「家族滞在」と「短期滞在」

外国籍の方が日本に滞在するためには、その活動内容に応じた在留手続が必要です。ご自身の家族や友人を日本へ招聘する場合、まず初めに明確にすべきは「滞在の目的」と「滞在期間」であり、これにより申請すべき手続きの種類が大きく2つに分かれます。


  • 配偶者や子と日本で長期間一緒に生活したい場合 → 在留資格「家族滞在」を申請します。

  • 親や兄弟、友人、恋人などに観光や訪問のため短期間来日してほしい場合 → 在留資格「短期滞在」を申請します。(ビザ免除国・地域の方は不要)



「家族滞在」と「短期滞在」の概要比較

両者の違いをより明確に理解するため、以下の表で主な項目を比較します。

比較項目

在留資格「家族滞在」

「短期滞在」ビザ

主な目的

扶養者(日本で就労する外国人)の扶養を受けて日本で生活すること

観光、親族・知人訪問、短期商用など

対象者

扶養者の配偶者または

親、兄弟、祖父母、友人、恋人など広範な親族・知人

滞在期間

5年を超えない範囲で決定

15日、30日、90日

日本での就労

原則不可(資格外活動許可を得れば一定の制限下での就労が可能)

不可

主な申請先

日本国内の出入国在留管理庁

海外にある日本大使館・総領事館

手続きを行う者

日本にいる扶養者(招聘人)

海外にいる申本人(招聘人が日本で書類を準備)

審査のポイント

扶養者の扶養能力、婚姻・親子関係の信憑性

招聘目的の妥当性、帰国の確実性、滞在費用の支弁能力



親族や兄弟姉妹、友人を中長期にわたり日本に招聘するための在留資格は、原則として存在しない

2025年現在、日本の在留資格において、外国籍の両親や兄弟姉妹、友人を日本に招聘し、中長期にわたって滞在するための在留資格は、一部例外的なものを除いて存在していません。

よって上記のような関係性の方々と、日本で中長期にわたり生活を共にしたいのであれば、招聘するのではなく、別途ご本人に就労資格等を取得して頂き、日本に来日して頂く必要があります。



2.【中長期滞在】配偶者や子と日本で暮らす「家族滞在」

在留資格「家族滞在」とは

在留資格「家族滞在」とは、特定の在留資格をもって日本に在留する外国人の扶養を受ける配偶者または子として行う日常的な活動のために設けられた在留資格です。つまり、日本で働く外国人が、本国にいる配偶者や子を呼び寄せ、家族として一緒に暮らすためのビザとなります。



対象となる家族の範囲

「家族滞在」の対象となるのは、一定の在留資格を有する扶養者の配偶者又はに限られます。 重要な点は以下の通りです。

  • 配偶者:

     原則として法律上の婚姻関係にあることが必要です。事実婚や内縁関係のパートナーは対象外となります。また、同性婚も日本の法律上は認められていないため、現時点では対象となりません。


  • 子:

     嫡出子のほか、養子や認知された非嫡出子も含まれます。ただし、成年に達した子が対象となる場合は、その子が経済的に親に依存している必要性を合理的に説明する必要があります。


  • 対象外となる親族:

     親(父母)や兄弟姉妹は、「家族滞在」の対象にはなりません。これらの親族を呼びたい場合は、後述する「短期滞在」などを検討することになります。



「家族滞在」の取得の要件

「家族滞在」の許可を得るためには、主に以下の要件を満たす必要があります。


  • 扶養者(招聘人)の在留資格: 

    扶養者自身が、「教授」「技術・人文知識・国際業務」「技能」「経営・管理」などの就労資格や、「文化活動」「留学」といった在留資格を有していることが前提です。「特定技能1号」や「技能実習」は対象外とされています。


  • 扶養の意思と扶養能力:

     扶養者に、呼び寄せる家族を経済的に支える意思と、安定した収入や資産があることが求められます。明確な年収基準はありませんが、同居家族が増えても問題なく生活できることが要件であり、年収が低い場合や転職直後などは、不許可のリスクが高まる傾向にあります。


  • 扶養を受ける側の活動: 

    呼び寄せられる配偶者や子は、扶養を受けて日常生活を送ることが目的でなければなりません。日本で自立して収入を得る活動を行うことは認められておらず、アルバイト等を行う場合は、別途「資格外活動許可」を取得する必要があります。



申請手続きの流れ:在留資格認定証明書交付申請

海外にいる家族を「家族滞在」で呼び寄せる場合、一般的に以下の流れで手続きを進めます。

Step1:必要書類の準備

  • 日本にいる扶養者が、出入国在留管理庁(以下、入管)へ提出する必要書類を収集・作成します。


Step2:入管への在留資格認定証明書交付申請

  • 扶養者が、自身の住所地を管轄する入管に「在留資格認定証明書交付申請」を行います。この証明書は、法務大臣が、上陸のための条件に適合していることを証明するために交付するもので、これをもってビザの申請を行います。


Step3:在留資格認定証明書の受領と送付

  • 無事に審査が許可されると、入管から在留資格認定証明書(COE)が交付されます。扶養者はこれを受け取り、本国にいる家族(申請人)へ国際郵便(電子申請の場合はメール)などで送付します。


Step4:現地の日本大使館・総領事館でのビザ申請

  • 家族(申請人)は、受け取ったCOEとその他の必要書類を持って、居住地を管轄する日本の大使館または総領事館でビザ(査証)の発給申請を行います。


Step5:来日と在留カードの交付

  • ビザが発給されたら、COEの有効期間内(交付から3カ月以内)に来日します。主要な空港(成田、羽田、関西など)では、入国審査時に在留カードが交付され、日本での生活が始まります。



「家族滞在」の主な必要書類

申請の際には、多くの書類が必要となります。以下に主なものを記載します。以下の内容を表に変換します。

準備する人

書類の種類

補足

日本にいる扶養者

在留資格認定証明書交付申請書


写真(縦4cm×横3cm)

申請人(来日予定の方)のもの


返信用封筒



扶養者との身分関係を証明する文書

婚姻証明書 、出生証明書、戸籍謄本等


扶養者の在留カード又は旅券(パスポート)の写し



扶養者の職業及び収入を証明する文書

在職証明書 、住民税の課税(または非課税)証明書及び納税証明書(直近1年分)等


その他

状況に応じて、預金残高証明書などを求められる場合があります。


海外にいる申請人

ビザ申請書類一式( 査証申請書、証明写真、旅券(パスポート)、在留資格認定証明書(原本)他

国や地域により必要な書類が異なります。



3.【短期滞在】親族や友人を日本へ招待する「短期滞在」

「短期滞在」とは

「短期滞在」は、日本に短期間滞在して、観光、保養、スポーツ、親族・知人訪問、短期商用などを行うための在留資格です。滞在日数は15日、30日、90日のいずれかで決定され、原則として収入を伴う活動は一切認められません。



対象者と招聘人・身元保証人の役割

「家族滞在」が配偶者と子に限定されるのに対し、「短期滞在」は以下のような幅広い関係性の方が対象となります。


  • 両親、祖父母、兄弟姉妹を含む親族

  • 友人・知人

  • 恋人(婚約者を含む)


日本で就労資格を持つ在留外国人がこれらの人々を招待する場合、多くは「招聘人(しょうへいにん)」と「身元保証人」の役割を担うことになります。

  • 招聘人: 

    日本へ外国人を呼び寄せる人。滞在予定表や招聘理由書を作成し、なぜその人を日本に呼びたいのかを説明します。


  • 身元保証人: 

    ビザ申請人が日本に滞在するにあたり、滞在費、帰国費用等について保証する人です。身元保証人は必ずしも招聘人と同一人物である必要はなく、招聘人と身元保証人を分けることも可能です。



ビザ免除国・地域とビザ申請が必要な国

全ての国の人が短期滞在にビザを必要とするわけではありません。日本は多くの国・地域との間でビザ免除措置を実施しています。例えば、アメリカ、韓国、台湾、イギリス、フランス、ドイツなどの方は、90日以内の観光等での滞在であればビザなしで来日が可能です。


一方で、中国、フィリピン、ベトナム、ロシアなど、ビザ免除措置の対象外となっている国・地域の方が来日する際には、事前に現地の日本大使館・総領事館で「短期滞在」ビザを取得する必要があります。


なお、ご自身の国がビザ免除措置の対象であるか否かは下記の外務省のページから確認することが可能です。


外務省:ビザ免除国・地域(https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/visa/tanki/novisa.html)



申請手続きの流れ(ビザ申請が必要な場合)

Step1:招聘人・身元保証人による書類の準備と送付

  • 日本にいる招聘人・身元保証人が、招聘理由書や身元保証書、滞在予定表などの必要書類一式を作成・収集します。

  • 完成した書類一式を、海外にいる申請人(親族や友人)へ送付します。書類は原則として本人による原本の提出が求められます。


Step2:申請人による在外公館でのビザ申請

  • 申請人は、日本から届いた書類と、自身で用意した書類(パスポート、査証申請書など)を併せて、居住地を管轄する日本の大使館・総領事館に提出し、ビザを申請します。


Step3:来日

  • ビザの有効期間内に来日します。



「短期滞在」の主な必要書類

申請する国や招聘目的によって必要書類は異なりますが、主として以下のような書類の提出が求められます。

準備する人

書類の種類

補足

日本にいる招聘人・身元保証人

招聘理由書

申請人との関係や招聘に至った経緯を具体的に記載します。

滞在予定表

日ごとの活動内容、連絡先、宿泊場所を詳細に記載します。


身元保証書



住民票

世帯全員の記載があるもの。


在職証明書



所得・課税証明書類

・課税証明書、納税証明書(総所得が記載されたもの) ・確定申告書控の写し など


有効な在留カードの表裏の写し



海外にいる申請人

査証(ビザ)申請書


写真



旅券(パスポート)



航空券予約確認書・eチケット等



申請人と招聘人の関係を証明する資料

・親族の場合:出生証明書、婚姻証明書など ・友人の場合:手紙、メール、一緒に写っている写真など




4.申請前に確認すべき事項と注意点

扶養者・身元保証人の収入

  • 家族滞在: 

    扶養者の継続的・安定的な収入が審査における重要項目の一つです。扶養家族が増えても生活保護等の公的扶助に頼ることなく、安定した生活を送れることを客観的に示す必要があります。


  • 短期滞在:

     身元保証人にも十分な経済力が求められます。申請人が万が一の事態に陥った際に、滞在費や帰国費用を負担できる能力があるかどうかが審査されます。



招聘に至る経緯・理由の具体性

  • 家族滞在:

     婚姻や親子の関係が真実であることを、公的証明書で立証することが基本です。


  • 短期滞在: 

    なぜその人を日本に呼びたいのか、その必要性を「招聘理由書」で具体的に記述することが非常に重要です。特に友人や恋人を招聘する場合、「SNSで知り合った」「観光を案内したい」といった漠然とした理由だけでは不十分です。出会った経緯、関係性の発展、これまでの交流内容(写真やメール等で裏付ける)、日本で一緒に何をしたいのかなどを、説得力をもって説明する必要があります。



「短期滞在」から他の中長期在留資格への変更は原則不可

「短期滞在」はあくまで一時的な滞在を目的とした資格です。そのため、「短期滞在」の在留資格をもって在留する者は、やむを得ない特別の事情がない限り、他の在留資格への変更は許可されません。例えば、「試しに短期滞在で来日し、その後日本で『家族滞在』に変更する」といったことは原則として認められていませんので注意が必要です。



複数の家族を異なる目的で招聘する場合

例えば、「妻と子は『家族滞在』で呼び、両親には孫の顔を見せに『短期滞在』で来てもらう」といったケースも考えられます。この場合、それぞれの手続きを並行して、あるいは時期をずらして進めることになります。このような場合、一方の手続きだけが通らないといった不都合が生じないよう、要件適合性の判断やスケジュール管理を含め、申請には慎重さが求められます。



5.まとめ

日本で働く外国人が本国の親族や友人を招聘する方法は、主に「家族滞在」ビザと「短期滞在」ビザの二つに大別されます。

それぞれ対象者、要件、手続きが全く異なるため、ご自身の目的を明確にし、適切な手続きを選択することが不可欠です。特に、ご自身の扶養能力や収入の証明、そして招聘理由の具体的な説明が、いずれの手続きにおいても重要な鍵となります。


長後行政書士事務所では、相談者様一人ひとりの状況を丁寧に把握し、最適なアドバイスとサポートを提供することで、ご家族やご友人との大切な時間を日本で実現するためのお手伝いをさせて頂いております。初回相談は無料となっておりますので、まずはお気軽にお問い合わせください。


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